パリオリンピックでの永瀬貴規選手の強さは異次元レベルでした。
リオオリンピックを世界チャンピオンの立場で迎え、必ず勝つと思っていましたが敗れました。
私は一番強いのが永瀬選手だと思っていたので、敗戦はある意味衝撃的でした。
その翌年の世界選手権では、3回戦で大内刈りを掛けた瞬間に膝を痛めます。
ここから復活までの苦難は筆舌に尽くしがたいもの。
そこから復活し、東京オリンピックでは金メダル。
その後、若手の台頭やルール改正もあり、結果がなかなな出なくなりました。
復調の兆しが見えたのは2024年タシケントグランドスラム。
ようやくメダルを狙える状況が整ったと感じていました。あくまでもメダル争いに加われるということで、連覇は相当難しいというか無理だろうと感じていました。
しかし、パリオリンピックでの戦いぶりは、想像の遥か上をいく内容。
初戦は実力差もあったので、それほど感じませんでしたが、2戦目のALBAYRAK,Vedat(TUR)選手戦から変わりました。
ALBAYRAK,Vedat(TUR)選手とは何度も対戦していますが、前回の東京オリンピックでも対戦し、丁寧な組手と先手攻撃で完封しました。典型的なパワー系柔道ですが、それを永瀬選手は捌くのが得意。そんな展開を予想していましたが、途中からがっぷり組んで押さえつけに掛かっていました。見ている方はハラハラですが、ALBAYRAK,Vedat(TUR)選手が圧倒されていましたね。
そして準々決勝の大一番。2024年タシケントグランドスラムで敗れたCASSE,Matthias(BEL)選手戦。試合展開の予想は、先手でCASSE,Matthias(BEL)選手が攻め、指導を奪い展開と思っていましたが、永瀬選手が両襟で引き付けると、CASSE,Matthias(BEL)選手は非常に嫌そう。しかも、体力の消耗が激しい。技こそ先手で掛けるものの、効果はほぼなくじり貧状態でした。
あんな姿はなかなか見せないので、かなり驚きましたね。
準決勝は役者が違いました。
そして迎えた決勝、怪物GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手戦です。世界選手権を圧勝で3連覇した怪物相手にどう戦うのか。戦う術はあるのかと思っていましたが、準々決勝を同じような展開で進み、見事な一本勝ち。GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手の調子が悪かったという見方もありますが、あの試合だけを見れば、圧倒的な差があったように感じます。
永瀬選手の柔道は、丁寧に組手を作り、そこから足技を中心に攻める流れでしたが、対戦相手は組手を徹底して持たせず、持たれる前に先手攻撃を仕掛けることで永瀬選手の良さを消しに掛かりました。
悪い時期はこの術中に嵌り、攻めが遅れて指導を受けて負ける展開が続いていたのですが、2024年タシケントグランドスラムから組みながら足が出るようになり、それにより組めるようになる展開が作れていました。
それでも、CASSE,Matthias(BEL)選手のようにそんな状況でも先手攻撃できる選手には敗れてしまいましたが、光明は見えました。
これならメダル争いは出来ると感じた由縁です。
しかし、GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手とは相当差があるとも感じていたのも事実。
そしてオリンピックで披露したNEW永瀬貴規は、想像を遥かに上回る完全体に仕上がっていました。
組手の足技の連動をベースに、先に組み止めるという手として、両襟を選択していたのです。
これまで、永瀬選手の負けパターンは、引手を持つことに拘りすぎて技出しが遅くなり、その結果指導をもらい負けるというものです。
これを組みながら足技を出すことで打開を図り、一定の成果を得られましたが、まだ不十分。
そこで導き出したのが両襟だったのでしょう。
永瀬選手の高校、社会人での後輩となる、同階級の老野祐平選手。
この選手も組手と足技が連動する選手で、基本的な戦い方は組手の左右の違いはあるものの、似ています。
この秘密は、下記に書かれています。
高校時代に徹底して身につけた、組手と技の連動。投げ切る技術。
これを磨き上げた結果が、パリオリンピックでの連覇に繋がったのだと思います。
長崎日大の松本監督は私の高校の後輩ですが、このような素晴らしい指導ができるのは何故なんだろうと思った時、ふとしたことで下記の記事を読み繋がりました。
松本監督の小学生時代、トレーニングと技の反復練習、そして3人打ち込みと投げ込みを繰り返し行っていたそうです。これは私も見ていました。
基本、基礎の繰り返しです。
これが役立っているのを、身をも持って知っていたのでしょう。
これを自身の指導にも役立てているように感じます。
2023年の全国中学生柔道大会で印象的なシーンがありました。
男子団体戦のEブロックリーグ戦第1試合 東海大相模(神奈川)対芳野(富山)戦。
芳野(富山)の監督が松本監督の小学生時代の恩師(私の恩師でもあります)です。
相手は東海大相模です。恩師も松本監督も、もちろん私も中学と高校の違いはありますが、ライバルと感じていた学校です。試合は東海大相模の圧勝でした。
そして次の試合には長崎日大が登場します。
もちろん監督は松本監督。さらに松本監督のご子息も試合に出場します。
東海大相模に敗れ、控えから下がる恩師と教え子の松本監督がすれ違う。
会話があったのかは分かりませんが、そこは二人だけ分かるものがあったのかも知れません。
恩師は翌年で指導者としての活動に区切りをつけると話していたそうです。
それを聞いていただけに、このニアミスは神様の配慮のように感じました。
まるで恩師から松本監督へ、「後は頼んだぞ」と言っているような感じ。
そこには松本監督の息子もいる。
当時はそんなことを考えていたのですが、永瀬選手の優勝を見た時、ふとこのシーンが思い浮かび、永瀬選手の戦い方の根本て、松本監督の小学生時代に遡るんじゃないのかと感じてしまいました。
何だか凄いシーンを目撃したようで、自分自身が舞い上がってしまいました。
永瀬最強説の源は、ここだったのかと。
これこそが技術の継承なんでしょう。
今年、偶然にも恩師に会える機会ができましたので、会ってこの話を聞いてみたいと思います。
リオオリンピックを世界チャンピオンの立場で迎え、必ず勝つと思っていましたが敗れました。
私は一番強いのが永瀬選手だと思っていたので、敗戦はある意味衝撃的でした。
その翌年の世界選手権では、3回戦で大内刈りを掛けた瞬間に膝を痛めます。
ここから復活までの苦難は筆舌に尽くしがたいもの。
そこから復活し、東京オリンピックでは金メダル。
その後、若手の台頭やルール改正もあり、結果がなかなな出なくなりました。
復調の兆しが見えたのは2024年タシケントグランドスラム。
ようやくメダルを狙える状況が整ったと感じていました。あくまでもメダル争いに加われるということで、連覇は相当難しいというか無理だろうと感じていました。
しかし、パリオリンピックでの戦いぶりは、想像の遥か上をいく内容。
初戦は実力差もあったので、それほど感じませんでしたが、2戦目のALBAYRAK,Vedat(TUR)選手戦から変わりました。
ALBAYRAK,Vedat(TUR)選手とは何度も対戦していますが、前回の東京オリンピックでも対戦し、丁寧な組手と先手攻撃で完封しました。典型的なパワー系柔道ですが、それを永瀬選手は捌くのが得意。そんな展開を予想していましたが、途中からがっぷり組んで押さえつけに掛かっていました。見ている方はハラハラですが、ALBAYRAK,Vedat(TUR)選手が圧倒されていましたね。
そして準々決勝の大一番。2024年タシケントグランドスラムで敗れたCASSE,Matthias(BEL)選手戦。試合展開の予想は、先手でCASSE,Matthias(BEL)選手が攻め、指導を奪い展開と思っていましたが、永瀬選手が両襟で引き付けると、CASSE,Matthias(BEL)選手は非常に嫌そう。しかも、体力の消耗が激しい。技こそ先手で掛けるものの、効果はほぼなくじり貧状態でした。
あんな姿はなかなか見せないので、かなり驚きましたね。
準決勝は役者が違いました。
そして迎えた決勝、怪物GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手戦です。世界選手権を圧勝で3連覇した怪物相手にどう戦うのか。戦う術はあるのかと思っていましたが、準々決勝を同じような展開で進み、見事な一本勝ち。GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手の調子が悪かったという見方もありますが、あの試合だけを見れば、圧倒的な差があったように感じます。
永瀬選手の柔道は、丁寧に組手を作り、そこから足技を中心に攻める流れでしたが、対戦相手は組手を徹底して持たせず、持たれる前に先手攻撃を仕掛けることで永瀬選手の良さを消しに掛かりました。
悪い時期はこの術中に嵌り、攻めが遅れて指導を受けて負ける展開が続いていたのですが、2024年タシケントグランドスラムから組みながら足が出るようになり、それにより組めるようになる展開が作れていました。
それでも、CASSE,Matthias(BEL)選手のようにそんな状況でも先手攻撃できる選手には敗れてしまいましたが、光明は見えました。
これならメダル争いは出来ると感じた由縁です。
しかし、GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手とは相当差があるとも感じていたのも事実。
そしてオリンピックで披露したNEW永瀬貴規は、想像を遥かに上回る完全体に仕上がっていました。
組手の足技の連動をベースに、先に組み止めるという手として、両襟を選択していたのです。
これまで、永瀬選手の負けパターンは、引手を持つことに拘りすぎて技出しが遅くなり、その結果指導をもらい負けるというものです。
これを組みながら足技を出すことで打開を図り、一定の成果を得られましたが、まだ不十分。
そこで導き出したのが両襟だったのでしょう。
永瀬選手の高校、社会人での後輩となる、同階級の老野祐平選手。
この選手も組手と足技が連動する選手で、基本的な戦い方は組手の左右の違いはあるものの、似ています。
この秘密は、下記に書かれています。
高校時代に徹底して身につけた、組手と技の連動。投げ切る技術。
これを磨き上げた結果が、パリオリンピックでの連覇に繋がったのだと思います。
長崎日大の松本監督は私の高校の後輩ですが、このような素晴らしい指導ができるのは何故なんだろうと思った時、ふとしたことで下記の記事を読み繋がりました。
松本監督の小学生時代、トレーニングと技の反復練習、そして3人打ち込みと投げ込みを繰り返し行っていたそうです。これは私も見ていました。
基本、基礎の繰り返しです。
これが役立っているのを、身をも持って知っていたのでしょう。
これを自身の指導にも役立てているように感じます。
2023年の全国中学生柔道大会で印象的なシーンがありました。
男子団体戦のEブロックリーグ戦第1試合 東海大相模(神奈川)対芳野(富山)戦。
芳野(富山)の監督が松本監督の小学生時代の恩師(私の恩師でもあります)です。
相手は東海大相模です。恩師も松本監督も、もちろん私も中学と高校の違いはありますが、ライバルと感じていた学校です。試合は東海大相模の圧勝でした。
そして次の試合には長崎日大が登場します。
もちろん監督は松本監督。さらに松本監督のご子息も試合に出場します。
東海大相模に敗れ、控えから下がる恩師と教え子の松本監督がすれ違う。
会話があったのかは分かりませんが、そこは二人だけ分かるものがあったのかも知れません。
恩師は翌年で指導者としての活動に区切りをつけると話していたそうです。
それを聞いていただけに、このニアミスは神様の配慮のように感じました。
まるで恩師から松本監督へ、「後は頼んだぞ」と言っているような感じ。
そこには松本監督の息子もいる。
当時はそんなことを考えていたのですが、永瀬選手の優勝を見た時、ふとこのシーンが思い浮かび、永瀬選手の戦い方の根本て、松本監督の小学生時代に遡るんじゃないのかと感じてしまいました。
何だか凄いシーンを目撃したようで、自分自身が舞い上がってしまいました。
永瀬最強説の源は、ここだったのかと。
これこそが技術の継承なんでしょう。
今年、偶然にも恩師に会える機会ができましたので、会ってこの話を聞いてみたいと思います。