全日本学生柔道優勝大会は、男子が日大が28年ぶりの優勝を飾り、女子5人制は環太平洋大、3人制が桐蔭横浜大が優勝という結果でした。
さて、男子団体戦。
優勝候補は2年連続28回目の優勝を狙う東海大。
メンバーも充実し、優勝間違いなしと目される存在だったと思います。
しかし、蓋を開けたらまさかの準々決勝敗退。
桐蔭横浜大に3対2で敗れました。
ここで、問題が。
新井道大(東海大)選手と西村夢人(桐蔭横浜大)選手の試合。
結果はご承知の通り、新井選手の柔道精神に反する行為による反則負けでした。
ブタペスト世界柔道選手権100キロ級2位の新井選手に対し、西村選手は1階級下の90キロ級の選手。
試合前から旗色が悪いのは当然です。(西村選手も作陽高校で活躍した選手です)
東海大が1対0でリードした状態で、両者は3試合目となる五将戦で対戦します。
追加点を狙う新井選手に対し、何とか得点を許すまいと西村選手が掛け逃げ気味の技も駆使して抗います。
新井選手は先に有効を奪い、リードします。
ここで、西村選手が巴投げに入りますが、新井選手は受け止め西村選手は捨て身技にも関わらず、宙づり状態。ここから、新井選手が西村選手を畳にいわゆる隅落とし様に叩きつけます。
主審は技の効果をコールすることなく、両副審を集めジュリー等と協議。
その結果、新井選手に柔道精神に反する行為による反則負けの裁定を下しました。
この件について、試合を見ていた方々から、様々な意見が寄せられていました。
特にeJudoでは、思うところがあり、長文で解説していますので、参照することをお勧めします。
私自身も思うところがありますので、私見を述べたいと思います。
色々な見解が合って当然ですので、現時点で私が感じていることです。
①今大会はIJFルールで行われている
新井選手と西村選手の試合のようなケースは過去にもありました。
ひとつは、2022年全日本選抜体重別で高藤直寿(パーク24)選手と米村克麻(センコー)選手との準決勝。巴投げに入った米村選手を、高藤選手が持ち上げて落とし一本勝ち。
もひとつが、パリオリンピック60キロ級の決勝で、SMETOV,Yeldos(KAZ)選手とMKHEIDZE,Luka(FRA)選手の試合。この試合も巴投げに入ったMKHEIDZE,Luka(FRA)選手をSMETOV,Yeldos(KAZ)選手が持ち上げて落として技ありを奪っています。
今回の新井選手と西村選手の試合と違うのは、巴投げを仕掛けた選手は、背中ないし臀部を着いている点です。捨て身技である巴投げは、背中が着いて技が止まれば寝技と判断されます。
この2つのケースとも、止まったとは言い難いですが、それでも背中、臀部は着いています。
これを持ち上げて落としてポイントだと判断しているのであれば、今回のケースが反則になると言うのが理解しがたいです。
高藤選手のケースは、後日ノーポイントになると判断が変わりましたが、SMETOV,Yeldos(KAZ)選手のケースは判定が変わると言う話は聞いたことがありません。(私が知らないだけかも知れませんが)
両ケースの違いは、臀部が着いたか、空中で受け止めているかの違いです。
空中で受けとめて、その後落とすのが柔道精神に反する行為であるならば、大外刈りを受け止め、背中から落としたら、これも柔道精神に反する行為となるのでしょうか?
確かに、頭から落とすような行為であれば、危険ということで咎められるというのも何となく理解できます。(あくまで何となくというレベルです)
片やオリンピックの決勝でポイント、片や柔道精神に反する行為で反則負けという裁定になるのか、区別がつきません。
私自身、ベテランズ等の試合にも出ており、道場では指導する立場でもあり、Cライセンスながら審判tライセンスも保持していますので、この違いを明確に説明していただきたいと思っています。
そうでないと、自身の試合でも、指導する場でも間違った判断をしかねません。
オリンピックも、今大会も、同じIJFルールで行われています。
大会の申し合わせ事項で、ルールが変わることはありますが、オリンピック、今大会において、それはなかったと認識しています。
ならば、何故このような解釈の違いが発生するのでしょうか?
柔道に限らず、競技というものはルールの下に行われます。
ルールはそれ以上でも、それ以下でもありませんので、厳正に運用すべきだと思います。
そこに審判の感情は必要ない、ルールに沿って運用すべきだと思っています。
確かに、柔道の場合、瞬間的な動きもあり、人間の目で判断するので多少の誤差はあっても仕方ない。
それを防止するために、副審やジュリー、そして映像が残されているはずです。
今回は、審判長、ジュリー、主審、副審いずれも柔道精神に反する行為と認識したということですが、この解釈の違いは何なのでしょうか?
SNSで、IJFの見解として「立技でも相手を畳に叩きつける行為は柔道精神に反する」として反則負けになるというものを見かけましたが、オリンピックの試合はどう説明するのでしょうか?
ちょっと理解できないのです。
もし、オリンピック以降にルール改正があったのであれば別ですが、新ルールでの説明でもそれはなかったと記憶しています。
②審判の解釈
上記に記載したように、審判の解釈によって結果が異なることがあるというのは良くありません。
審判は、ルールに基づいてルール通りに判断すべき存在だからです。
しかし、ルールが全て数値で決められ、解釈にまったく狂いが発生しないのであればいざ知らず、柔道はそうではありません。
そうはいっても、それが大きな違いになっては、競技として成り立ちません。
そのために審判ライセンスもあるはずですが、解釈の違いは大きいのが現状です。
今大会における指導が遅いという指摘、先日出場した日本ベテランズの試合も指導が非常に遅かった。
ベテランズだから指導を遅くするという説明も当然ありませんから、違和感を感じていました。
選手はルールに沿って戦略を組み、ルールに沿って試合を進めますので、そのルール解釈で審判と選手で違いがあるのは言語道断だと思います。
③審判はジャッジのプロ
これは、この試合に限らず、一般の小さな試合でも感じていたことですが、審判はジャッジのプロであった欲しいです。
今は、以前と違い、ライセンスを持たない方が審判をすることはないと思いますので、なおさらプロ意識を持って欲しい。
段別の試合をする場合、試合をする方の段位より下の段位の審判は、その試合の審判はできないという話をよく耳にします。
これは、おかしいと思います。
審判ライセンスのランクによって、県内の試合は審判できるが、全国大会はダメという規定はありますが、段位による区分けはありません。
そもそも、段位が低くても、審判ライセンスを取得している以上、審判のプロです。
審判は、常にこの意識を持たなければならないと、私は感じています。
段位は低くとも、試合を捌くのはプロであるという意識を忘れてはならないと思います。
無償でやっているのにという話も聞きますが、それとこれは別です。
選手の将来が懸かっている大げさですが、それぐらいの意識が必要だと思っています。
そのためには、ルールの把握は最低条件です。
レアなケースで迷うのは仕方ないとして、よくあるケースではそんなことのないようにしなければならないと思います。
今回のケースで、この意識がなかったという訳ではありませんが、解釈の違いについては、影響があったのかも知れません。
ウルフアロン選手の見解
このような考え方ももちろん理解できます。
IJFの解釈をはっきり聞きたいですね。
私は中学の県総体の個人戦で、審判の勘違いで負けました。
このような形での敗戦は非常に悔しい。
私と同じような気持ちを選手には感じて欲しくない。
もちろん、人間ですからミスジャッジは起こりえます。
しかし、それを補うシステムも確立しつつありますので、その可能性は以前と比較して激減しているはずです。
今回の試合の判断がダブルスタンダードとならないように、はっきりとさせてもらいたいと思います。
これに限らず、ルールに正確に沿った運用を行って欲しいと思います。
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