このところスポーツ界で何かと話題に上がるパワハラ問題。

近いところでは、体操、大相撲、アメリカンフットボール、レスリング、ボクシングとありました。
一番最初に問題となったのは柔道だったと思います。

昨日のニュースで、パワハラ防止フォーラムというものが超党派で構成されるスポーツ議員連盟主催で開催されたそうです。
ここに元貴乃花親方がいたので多くのニュースで取り上げられていましたが、ここは大きな問題ではありませんので置いておきます。

私が中学、高校と柔道をやっていたころは、パワハラという概念などなく、当たり前でした。
その流れがずっと続き、一番最初に問題になったのが柔道でした。

女子柔道強化選手への暴力問題

体罰だけでなく、言葉の暴力もあり、様々な問題が含まれていたものです。
再発防止に向けて一番頭を悩ませたのが柔道界だったと思います。
昨日のフォーラムでも柔道界の事例を基に話されたようです。
もちろん全柔連会長の山下泰裕氏も同席していました。

柔道界からパワハラをなくそうパンフレット

この問題は非常に深く、複雑なものでした。
本気で改革に取り組まなければ達成できないものです。
指導者自体も、考え方、行動を改めなければいけません。


誤解を恐れずに敢えて書くならば、柔道と言う競技は格闘技であり、一歩間違えれば競技中や練習中に死ぬこともあるものです。
そのため、そのような状態の時に厳しい口調で注意することもあります。
また、試合に勝って欲しいということで、練習中に追い込むことも珍しくありません。
指導している側には、全く悪い意識がないのが曲者です。当初は、良かれと思ってすることが発端だからです。
ところが当初言う側(やる側)は、相手のことを思っての行動だったはずが、徐々にエスカレートしてしまい、最後はパワハラということに発展してしまうことが考えられます。
ここに落とし穴があるのだと思います。

指導者と選手の関係は対等で、お互いにリスペクトしなければならない関係です。
このリスペクトする関係が崩れると、いかなる言動であっても受け入れ難くなるのではないでしょうか。
言う側(やる側)にとっては大したことのないものであっても、受ける方がそうだとは限りませんからね。

特に現在指導者として活躍している方は、現役時代にもっと大変な目に合っていた方も多く存在すると思います。
自分の時はこうだったからという思考を、どうしても持って指導しがちですが、これは良くないことなんだと思います。



言う側が問題なのですが、言われる側に問題がゼロかというと、そんなこともない場合もあり、このジレンマが更に指導者がエスカレートしていく要因になることもあります。
しかし、これでは意味がありませんよね。
大切なのは、問題の原因を紐解き、解決に向けてどう取り組むかですよね。
目的と目標を間違えてはいけないということです。


叱ると怒るというのは、意味が違います
叱るのは、指導の目的で行うものです。
怒るは、感情です。
似たようなものですが、本質は大きく違います。
指導される側は、この違いを理解できていない時があるのも事実ですし、指導される側が誤解されたり、間違いやすい部分でもあります。
叱る時には、何故という理由を噛み砕いて説明しなければいけませんよね。


対人での問題なので、なかなか一筋縄でいかない問題ですが、選手の成長が一番の「目標」のはずです。
何のためにその目標を達成したいのかというのが「目的」です。
似て非なるものですが、このことをお互いにしっかりと理解して取り組むことが、パワハラ根絶には必要なのではないかと思います。


指導するというのは本当に難しいです。
柔道では、指導者ライセンスが導入され、ずいぶん時間が経過していますが、これも必要なものなのだと思います。
来年2月に神奈川県の指導者ライセンスの講習がありますが、申込損ねてしまいましたので、次回に持ち越しです。