中学時代に始めた柔道の魅力に嵌り、格闘技全般が好きになりました。
柔道整復師の資格を取得し、一時期は仕事として取り組んでいました。
柔道、格闘技、トレーニング、治療のことを中心に書いていきます。
よろしくお願いします。

つぶやき

技術の継承

パリオリンピックでの永瀬貴規選手の強さは異次元レベルでした。



リオオリンピックを世界チャンピオンの立場で迎え、必ず勝つと思っていましたが敗れました。
私は一番強いのが永瀬選手だと思っていたので、敗戦はある意味衝撃的でした。

その翌年の世界選手権では、3回戦で大内刈りを掛けた瞬間に膝を痛めます。
ここから復活までの苦難は筆舌に尽くしがたいもの。

そこから復活し、東京オリンピックでは金メダル。

その後、若手の台頭やルール改正もあり、結果がなかなな出なくなりました。
復調の兆しが見えたのは2024年タシケントグランドスラム。
ようやくメダルを狙える状況が整ったと感じていました。あくまでもメダル争いに加われるということで、連覇は相当難しいというか無理だろうと感じていました。

しかし、パリオリンピックでの戦いぶりは、想像の遥か上をいく内容。

初戦は実力差もあったので、それほど感じませんでしたが、2戦目のALBAYRAK,Vedat(TUR)選手戦から変わりました。
ALBAYRAK,Vedat(TUR)選手とは何度も対戦していますが、前回の東京オリンピックでも対戦し、丁寧な組手と先手攻撃で完封しました。典型的なパワー系柔道ですが、それを永瀬選手は捌くのが得意。そんな展開を予想していましたが、途中からがっぷり組んで押さえつけに掛かっていました。見ている方はハラハラですが、ALBAYRAK,Vedat(TUR)選手が圧倒されていましたね。

そして準々決勝の大一番。2024年タシケントグランドスラムで敗れたCASSE,Matthias(BEL)選手戦。試合展開の予想は、先手でCASSE,Matthias(BEL)選手が攻め、指導を奪い展開と思っていましたが、永瀬選手が両襟で引き付けると、CASSE,Matthias(BEL)選手は非常に嫌そう。しかも、体力の消耗が激しい。技こそ先手で掛けるものの、効果はほぼなくじり貧状態でした。
あんな姿はなかなか見せないので、かなり驚きましたね。

準決勝は役者が違いました。
そして迎えた決勝、怪物GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手戦です。世界選手権を圧勝で3連覇した怪物相手にどう戦うのか。戦う術はあるのかと思っていましたが、準々決勝を同じような展開で進み、見事な一本勝ち。GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手の調子が悪かったという見方もありますが、あの試合だけを見れば、圧倒的な差があったように感じます。

永瀬選手の柔道は、丁寧に組手を作り、そこから足技を中心に攻める流れでしたが、対戦相手は組手を徹底して持たせず、持たれる前に先手攻撃を仕掛けることで永瀬選手の良さを消しに掛かりました。
悪い時期はこの術中に嵌り、攻めが遅れて指導を受けて負ける展開が続いていたのですが、2024年タシケントグランドスラムから組みながら足が出るようになり、それにより組めるようになる展開が作れていました。
それでも、CASSE,Matthias(BEL)選手のようにそんな状況でも先手攻撃できる選手には敗れてしまいましたが、光明は見えました。
これならメダル争いは出来ると感じた由縁です。
しかし、GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手とは相当差があるとも感じていたのも事実。

そしてオリンピックで披露したNEW永瀬貴規は、想像を遥かに上回る完全体に仕上がっていました。
組手の足技の連動をベースに、先に組み止めるという手として、両襟を選択していたのです。
これまで、永瀬選手の負けパターンは、引手を持つことに拘りすぎて技出しが遅くなり、その結果指導をもらい負けるというものです。
これを組みながら足技を出すことで打開を図り、一定の成果を得られましたが、まだ不十分。
そこで導き出したのが両襟だったのでしょう。


永瀬選手の高校、社会人での後輩となる、同階級の老野祐平選手。
この選手も組手と足技が連動する選手で、基本的な戦い方は組手の左右の違いはあるものの、似ています。
この秘密は、下記に書かれています。





高校時代に徹底して身につけた、組手と技の連動。投げ切る技術。
これを磨き上げた結果が、パリオリンピックでの連覇に繋がったのだと思います。

長崎日大の松本監督は私の高校の後輩ですが、このような素晴らしい指導ができるのは何故なんだろうと思った時、ふとしたことで下記の記事を読み繋がりました。




松本監督の小学生時代、トレーニングと技の反復練習、そして3人打ち込みと投げ込みを繰り返し行っていたそうです。これは私も見ていました。
基本、基礎の繰り返しです。
これが役立っているのを、身をも持って知っていたのでしょう。
これを自身の指導にも役立てているように感じます。




2023年の全国中学生柔道大会で印象的なシーンがありました。



男子団体戦のEブロックリーグ戦第1試合 東海大相模(神奈川)対芳野(富山)戦。
芳野(富山)の監督が松本監督の小学生時代の恩師(私の恩師でもあります)です。
相手は東海大相模です。恩師も松本監督も、もちろん私も中学と高校の違いはありますが、ライバルと感じていた学校です。試合は東海大相模の圧勝でした。

そして次の試合には長崎日大が登場します。
もちろん監督は松本監督。さらに松本監督のご子息も試合に出場します。
東海大相模に敗れ、控えから下がる恩師と教え子の松本監督がすれ違う。
会話があったのかは分かりませんが、そこは二人だけ分かるものがあったのかも知れません。



恩師は翌年で指導者としての活動に区切りをつけると話していたそうです。
それを聞いていただけに、このニアミスは神様の配慮のように感じました。

まるで恩師から松本監督へ、「後は頼んだぞ」と言っているような感じ。
そこには松本監督の息子もいる。

当時はそんなことを考えていたのですが、永瀬選手の優勝を見た時、ふとこのシーンが思い浮かび、永瀬選手の戦い方の根本て、松本監督の小学生時代に遡るんじゃないのかと感じてしまいました。

何だか凄いシーンを目撃したようで、自分自身が舞い上がってしまいました。
永瀬最強説の源は、ここだったのかと。

これこそが技術の継承なんでしょう。

今年、偶然にも恩師に会える機会ができましたので、会ってこの話を聞いてみたいと思います。




永山竜樹対GARRIGOS,Francisco(ESP)戦を振り替える

パリオリンピック柔道競技で最初の2日間が終了しました。

角田夏実選手の圧倒的な勝利、阿部詩選手の逆転負け、阿部一二三選手の連覇、そして永山竜樹選手の銅メダル。
これぞオリンピックというドラマたっぷりな内容だったと思います。

特に兄妹で絶対王者として君臨していた阿部兄弟の詩選手が、一瞬のスキを突かれた逆転の一本負け。
この日の詩選手の調子は悪くなかったと思いますが、密着戦を志向したKELDIYOROVA,Diyora(UZB)選手の戦略が素晴らしかった。
離れた位置からのスピード勝負では戦いにならないことから、密着戦を選択していました。
事実密着された時に嫌な感じを覚えましたが、まさかあんな結末になるとは。
KELDIYOROVA,Diyora(UZB)選手が見事でした。



さて、男子60キロ級のプールBの準々決勝 GARRIGOS,Francisco(ESP) 対 永山竜樹 戦。
非常に後味の悪い終わり方になりました。

試合の流れはGARRIGOS,Francisco(ESP)選手にあり、あのまま進んで行っても、永山選手は勝てなかったと思います。
結果は同じだったと言えますが、あの負け方では納得できないと思います。

では、どこに問題があったのか?

寝技でGARRIGOS,Francisco(ESP)選手が抑え込みを狙いつつ、抑え込みを回避しようとしていた永山選手の首ががら空きなのを見逃さず、袖車絞めを狙います。
この時の永山選手も防御は、まったくこの攻めを警戒していませんでした。

国士館返し等の横回転させながら抑え込みを狙う際に、抑え込みを防御する相手が絞めや関節の対応が遅れがちになるのを狙うテクニックとして袖車絞めや腕固めのテクニックが流行しています。
永山選手はこの流行を把握できていなかったように感じます。

かなりガッチリ決まっていましたが、主審が待てを掛けます。
しかし、GARRIGOS,Francisco(ESP)選手は絞める手を緩めません。
本人談では、待てが聞こえなかったとか。

ここで、本来ならば主審が止めるまで待てを連呼するなり、体を叩くなりしなければなりませんが、主審はそれを怠りました。
まずは、これが最大の落ち度だと思います。

絞められている選手が、待てを掛けたタイミングで、直後に落ちて(失神)しまうことはあります。
これは、落ちてしまった選手の負けになります。
今回は、待てを掛けた後も、絞め続けていたことと、それを主審が制せなかったことが問題です。

絞め続けていたことについては、聞こえなかった(オリンピックの大歓声なので、そういうこともあるでしょう)のは致し方ないとして、それにも関わらず傍観した主審が明らかに良くない。

IJF主催の大会でも、主審がジュリーの指示で全て動く傾向が見られます。
その結果、主審としての意思がまったく感じられない審判員がいます。

もちろん、審判も人間ですし、一方向からしか見られませんので、見えなかったり、見逃してしまうこともあるでしょう。
本来であれば、それを補うのがジュリーのはずですが、補うのではなく、ジュリーが全てを決めてしまっているかのように感じます。
これだと、何のために主審がいるのか良く分かりません。
明らかなルール違反を見逃したり、間違った判断をした場合の訂正は必要ですし、映像による確認も良いことだと思いますが、ジャッジをするのはあくまでも主審が主体であるべきだと思います。

指示待ちの主審では、大事な試合を捌くことができません。
今回は、まさにこの悪い部分が出たように思います。
オリンピック等の大きな大会を裁く審判は、経験豊富なはずですが、未だにこのような審判も見受けられます。
世紀の誤審と言われた篠原信一選手とダビド・ドイエ選手との決勝も、主審の実力不足は明確でしたが、それと同じことが起きています。

指示待ちの審判は、ライセンスを取り消すなり、降格させて再度勉強させるなりしなければ、今後も同じことが繰り返されると思います。
かわいそうなのは選手です。
勝ったGARRIGOS,Francisco(ESP)選手も、負けた永山選手も浮かばれません。


では、どうするべきだったのでしょうか?

①主審は待てを掛けたにも関わらず、選手が動きを止めない際は、繰り返し待てを掛けるなり、体に触れて動作を止めさせる。
これは難しいことではないはずです。これを出来ない審判は、審判員の資格ありません。

②主審が待てを宣告した後の技は無効にする。
立ち技では当たり前ですが、待ての後に投げてもポイントは付きません。寝技も同じはずです。確かに絞めの場合、待てを掛けた時点で落ちてしまうこともありますが、今回は明らかに違うケースです。こんなのが認められるようであれば、手を放さない者勝ちになってしまいます。立ち技では待ての後は無効なのですから、同じにすればいいだけです。

③ジュリーの介入を最小限にする。
今回に限らず、ジュリーの介入が多すぎます。介入自体は悪いことではないのですが、どちらがイニシアチブを取っているかということです。現状では明らかに主審よりも上に立っていますので、これを主審が上になるようにするべきだと思います。そうしなければ、主審はいつまでたっても自分で判断できない人がいなくなりません。人間ですから、見えなかったり、勘違いしたりすることもあります。それを補うのが本来のジュリーの役割だと思います。



何にも難しいことではないと思うのですが。
ジュリー制度が入り、明らかに誤審と言われる類のミスは減りましたが、未だに散見されます。人が人を裁くのですから、ある程度は仕方ない。
しかし、それを防ぐ手立てに取り組んでいて初めて仕方ないです。

繰り返しになりますが、あのまま試合を続けていたとしても、永山選手は勝てなかったと思います。それは、永山選手が試合に挑んだ挑み方(準備)が良くなかったからだと思います。
永山選手は柔道の天才だと思います。反応の速さも素晴らしい。でも、世界戦選手権では勝てない。
全日本選手権で、1回勝つような軽量級の選手なんて、今のルールではありえないと言っても良いぐらい柔道は強いのに勝てません。
これは、本人が公言している研究しないというスタイルの問題だと思います。
あの場面の袖車絞めについても、あのように攻められるということを理解していなかったのではないでしょうか。(実際はわかりませんが)
これでは、今の柔道競技ではなかなか勝てないと思います。純粋に柔道が強い人が勝つのではなく、勝った人が強いと言うことでもあります。

阿部詩選手の敗戦も、その一端が垣間見られたためだと思います。10回やっても10回阿部詩選手が勝つような関係だったと思いますが、万に一つのチャンスに懸けて対策を練ったKELDIYOROVA,Diyora(UZB)選手が素晴らしかった。阿部詩選手は、密着された時の対応、密着されないようにする対応等が十分ではなかったのかも知れません。

KELDIYOROVA,Diyora(UZB)選手は次のBUCHARD,Amandine(FRA)選手との準決勝でも、肩車対策が十分でした。相当練り込んで大会に挑んだと思います。

話しは戻って永山選手は、あの負け方をしたら、自分の反省よりも主審の判断に負けた原因があると思ってしまう。
この考えから脱却し、世界一になって欲しい選手ですから、こんな風に思って欲しくはないです。


色々と長く書き連ねましたが、私の個人的感想です。
色々な意見があると思いますが、主審の威厳があるようにして欲しいです。


ブログランキングに参加しました。

柔道ランキング
にほんブログ村 格闘技ブログへ
にほんブログ村
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

読者登録
LINE読者登録QRコード
広告
アーカイブ
お問い合わせ
プライバシーポリシー
広告の配信について 当サイトは第三者配信の広告サービス「Google Adsense グーグルアドセンス」を利用しています。 広告配信事業者は、ユーザーの興味に応じた広告を表示するためにCookie(クッキー)を使用することがあります。 Cookie(クッキー)を無効にする設定およびGoogleアドセンスに関する詳細は「広告 – ポリシーと規約 – Google」をご覧ください。 また、[サイト名]は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。 第三者がコンテンツおよび宣伝を提供し、訪問者から直接情報を収集し、訪問者のブラウザにCookie(クッキー)を設定したりこれを認識したりする場合があります。 アクセス解析ツールについて 当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を利用しています。 このGoogleアナリティクスはトラフィックデータの収集のためにCookieを使用しています。このトラフィックデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。この機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。この規約に関して、詳しくはここをクリックしてください。 当サイトへのコメントについて 当サイトでは、スパム・荒らしへの対応として、コメントの際に使用されたIPアドレスを記録しています。 これはブログの標準機能としてサポートされている機能で、スパム・荒らしへの対応以外にこのIPアドレスを使用することはありません。また、メールアドレスとURLの入力に関しては、任意となっております。全てのコメントは管理人が事前にその内容を確認し、承認した上での掲載となりますことをあらかじめご了承下さい。加えて、次の各号に掲げる内容を含むコメントは管理人の裁量によって承認せず、削除する事があります。 ・特定の自然人または法人を誹謗し、中傷するもの。 ・極度にわいせつな内容を含むもの。 ・禁制品の取引に関するものや、他者を害する行為の依頼など、法律によって禁止されている物品、行為の依頼や斡旋などに関するもの。 ・その他、公序良俗に反し、または管理人によって承認すべきでないと認められるもの。 免責事項 当サイトで掲載している画像の著作権・肖像権等は各権利所有者に帰属致します。権利を侵害する目的ではございません。記事の内容や掲載画像等に問題がございましたら、各権利所有者様本人が直接メールでご連絡下さい。確認後、対応させて頂きます。 当サイトからリンクやバナーなどによって他のサイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報、サービス等について一切の責任を負いません。 当サイトのコンテンツ・情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤情報が入り込んだり、情報が古くなっていることもございます。 当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
  • ライブドアブログ