第74回全国七大学柔道優勝大会が7月5日、6日に北海道札幌市の北海きたえーるで開催されました。
結果は、男子が北海道大が4連覇を達成し、女子は東京大が優勝で幕を閉じました。
今大会は稀に見る激戦で、男子決勝を中心に振り返りたいと思います。
素晴らしい試合でした。

笹谷コーチのFacebookから拝借
北大は4連覇を掛けて挑む大会。
15人制の勝ち抜き試合。
勝敗は1本勝ちのみで、優勢勝ちはなし。
女子団体戦
1回戦
1-1 名古屋大 △(1人残し)〇 北海道大
1-2 九州大 △(2人残し)〇 東京大
1-3 京都大 △(1人残し)〇 東北大
敗者復活リーグ戦
名古屋大 △(2人残し)〇 九州大
九州大 〇(2人残し)△ 京都大
名古屋大 〇(2人残し)△ 京都大
1位が準決勝進出
準決勝
準1 北海道大 △(1人残し)〇 東京大
準2 東北大 △(2人残し)〇 九州大
決勝
東京大 〇(1人残し)△ 九州大
女子は戦力の充実した東京大が、安定した試合運びで59回大会(平成22年開催)以来、15年ぶりの優勝です。
女子は選手不足が顕著ですが、他大学の練習生が出場できるルールも活用し、危なげない試合運びが印象的でした。
そして、各大学(特に名古屋大)は留学生の活躍も目に留まりました。
しかも、技術レベルも高く、フィジカルも高いことから、来年度の活躍も楽しみです。
しかし、どうやってあんなに留学生が参加するようになったのでしょう?
そして、京都大学の柚⽊選手。
一人ながら団体戦を行い、獅子奮迅の活躍。抜き勝負というルールから、一人でもエントリーは可能ですが、それを実際に行うのは大変なこと。小さな体に大きな闘志を秘めていたのだと思います。
その戦いぶりは素晴らしかった。
男子団体戦
1回戦
1-1 大阪大 △(2人残し)〇 九州大
1-2 東京大 △(2人残し)〇 京都大
1-3 東北大 〇(9人残し)△ 名古屋大
敗者復活戦1回戦
敗1 北海道大 〇(7人残し)△ 大阪大
敗2 東京大 〇(5人残し)△ 名古屋大
敗者復活戦3回戦
敗3 北海道大 〇(4人残し)△ 東京大
準決勝
準1 九州大 △(1人残し)〇 京都大
準2 東北大 △(5人残し)〇 北海道大
決勝
京都大 △(2人残し)〇 北海道大
決勝までの勝ち上がり
上のブロックからは、九州大と京都大がそれぞれ大阪大と東京大を2人残しで破り、準決勝進出。
敗れた大阪大が北海道大との敗者復活戦で戦うも、圧倒的な力の差を見せつけられ7人残しの大差で敗戦。
東北大と名古屋大は9人残しで東北大が準決勝に進み、敗れた名古屋大と東京大との敗者復活戦は、東京大が5人残しで勝ち、準決勝進出を懸け、北海道大と対戦します。
この試合も北海道大は安定した試合運びで力の差を見せ、4人残しで準決勝進出です。
ここまでの試合ぶりを見る限り、北海道大の力が頭一つ抜けている印象。
2試合ともエース横森選手を大将に温存し、それ以外の選手で力の差を見せつける横綱相撲です。
よく鍛えられていました。
九州大、京都大はしぶとい試合運びで、東北大もまとまっていますが、やや北海道大との差を感じました。特にその差はエースの差と感じる部分も。
この時点では、北海道大が圧勝するのではと思っていました。
準決勝
九州大 △(1人残し)〇 京都大
東北大 △(5人残し)〇 北海道大
九州大対京都大
九州大と京都大の対戦は、大将同士までもつれます。
京都大が先制するも、九州大中堅の野中選手見事な大外刈りで一本勝ちし追いつきます。
追いつかれた京都大は、七将妹尾選手が同じく七将のブランドン選手を抑えきり、再びリードを奪います。
追い詰められた九州大は、副将の清水選手が京都大3将の八田選手を左小外刈りで下がらせ、そのまま左大外刈りに飛び込めば、大きく飛んで畳に埋める見事な一本。立ち技でなかなか一本を取らない、七帝戦においても、文句のない技でした。次の試合を手堅く引き分け、いよいよ大将同士の決戦です。
九州大有川選手、京都大山﨑選手の対戦。体格で上回る山﨑選手が捕まえようと追いかけるも、有川選手は一向に付き合わず、主審が試合を止め、口頭による注意を与えます。再開後、距離を取りたい有川選手を捕まえ、引き込んできたタイミングで上から潰し、亀にさせ、SRTで捲り、足1本を与えておいてその間に上半身を固め、満を持して足を抜き、崩れ袈裟固めが完成。有川選手、逃げる術はなく、2分23秒一本勝ち。
熱戦は大将同士の戦いで決着が着きました。大将に山﨑選手を置いていたオーダーの勝利とも言えます。
東北大対北海道大
準決勝もう1試合の東北大と北海道大は、東北大の健闘もありましたが、意外な大差がつきました。
東北大次鋒の青木選手が1人抜くも、北海道大の三鋒北川選手に抜き返され、北川選手はもう一人抜いて3人目で引き分け逆転に成功。続く北海道大四鋒の佐藤選手が見事な内股で一本勝ちしリードを広げるも、東北大六鋒の上出選手が抜き返し一人差に戻します。
北海道大五鋒の大野選手が上出選手を抑え込み、差を詰めさせず、続く東北大七鋒の宍戸選手を2回抑え込み合わせ技で一本勝ちし、リードを広げます。北海道大は、勝った後、引き分けてリードを作りますが、東北大は勝った試合の後に負けてしまい、なかなか波に乗れません。
東北大七将の金野選手が北海道大六鋒の今井選手に珍しい反則勝ち(恐らく消極的な戦いの累積による反則勝ち)をし、追撃の狼煙を上げます。(七帝ルールでは引き込みを認めていますが、今試合ではいきなり亀の状態になることを消極的と判断し、指導を与えていました)
ここで勢いに乗りたいところですが、北海道大七鋒の藤井選手がしっかりと取り返し、差を詰めさせません。藤井選手は六将望月選手も抜き、五将松本選手と引き分け。ここから引き分けて着実に歩を進め、東北大大将の掃本選手と北海道大五将の小野田選手が対戦し、粘る掃本選手を横四方固めで捉えて一本勝ち。北海道大決勝進出。4連覇に挑みます。過去に京都大の10連覇はあったものの、4連覇を果たした大学はありません。
決勝
京都大 対 北海道大
先鋒 八田-佐藤仁 先鋒
次鋒 松下-坂下 次鋒
三鋒 木船-久我 三鋒
四鋒 牛澤-大野 四鋒
五鋒 森-小野田 五鋒
六鋒 中谷-北川 六鋒
七鋒 中村-徐 七鋒
中堅 黒田-藤井 中堅
七将 妹尾-荒田 七将
六将 堀田-新野 六将
五将 富沢-池田 五将
四将 泉-佐藤輝 四将
三将 上野-今井 三将
副将 山﨑-横森 副将
大将 田中-渡辺 大将
両校とも、副将に主将でエースを配置するオーダーです。
戦評(敬称略)
先鋒 八田(6:00 引き分け)佐藤仁 先鋒
八田右、佐藤仁左のケンカ四つ。両者組手争いで先手を取ろうとするも互いに釣り手を持って、引手争いに終始する。散発的に佐藤仁が左体落としに飛び込むも、八田は冷静に対処。両者無理をせず、立ち技の攻防で終了
次鋒 松下△(3:09 横四方固)〇坂下 次鋒
両者右の相四つ。体格に劣る松下が組み合う早々引き込んで下になる。坂下はこれに応じず持ち上げて待て。背中越しに帯を持った坂下が前に潰し、抑え込みを狙うも足を交わせず立ち上がる。再び背中越しに帯を取り、前に潰した坂下が左手を脇に差し入れ、掬って返そうとすると、松下も勝負と見て捲り変えそうとするも、帯を持たれた右手が効いて果たせず、坂下が上になり、胸を合わせてそのまま横四方固めに抑え込む。
三鋒 木船△(4:51 横四方固)〇坂下 次鋒
木船左、坂下右のケンカ四つ。やや体格に劣る木船は距離を取るが、これを潰したい坂下が背中越しに帯を狙う。坂下が木船の釣り手の袖を抑え、そのまま右内股に入り、木船を潰す。頭側に着き、右手で帯を持ち、上からプレッシャーを掛け、返すタイミングを伺う。時間は3分以上あり、じっくりと攻め手を探る。木船の右肘外側を左手で掴み、一気に引き抜いて返そうとする。瞬間的に上を向いた木船は慌ててうつ伏せに戻るが、坂下はこのチャンスを逃さんと腕絡み返しを晒し、それを避けて立ち上がろうとした木船を引き込み返しで後ろに放り、そのまま上になる。右足一本を与え、その間に肩越しの右手、脇を差した左手、共に帯を持ち、しっかりと固める。一呼吸置き、左足で蹴って右足を抜き、横四方固めへ。坂下2人抜き。
四鋒 牛澤〇(1:07 送襟絞め)△坂下 次鋒
互いに右の相四つ。これ以上離される訳には行かない京都大は、何としても1点返したいところ。坂下はしっかりと引き分け、リードを保ちたい。しかし、引手を抑えられたところで、水から潰れてしまう。後ろから足を差し込み、体を伸ばされた坂下は牛澤の送り襟絞めを耐えられず参った。
四鋒 牛澤(6:00 引き分け)久我 三鋒
1点を返し、意気が上がる牛澤が、前に出てプレッシャーを掛けると、久我は引き込む。牛澤は足を捌きつつ左に回り、後ろに着くことに成功する。そのまま、絞め、返して抑え込みを狙うも、久我の守りが固く、極められず引き分け。北海道大1人リード。
五鋒 森(6:00 引き分け)大野 四鋒
開始早々大野選手が引き込み、下から浅野返しを狙いますが果たせず、そのまま後に抜け出し、森の後ろに着くことに成功。亀になった森の頭側に回り、右手で帯と裾をまとめて持ってプレッシャーを掛けます。左手で首裏の襟を持ち、揺さぶりますが守りも固い。この攻防で徐々に場外に近づいたため、主審がそのままと発し、試合場中央に移動。再開後、突如横三角で返そうと2度試み、大きく崩れるも持ち直す。同様の攻防が時間まで続き、引き分け。
六鋒 中谷〇(1:29 送襟絞め)△小野田 五鋒
何とか追いつきたい京都大中谷が、右小外刈りで小野田をうつ伏せにし、後ろから攻め手を探すも、諦め立つ。再開後、中谷が奥襟を叩くと、小野田は潰れるが中谷は深追いせず待て。主審より口頭の注意が小野田に与えられる。引手一本を中谷が作ると、小野田は左背負いに潰れ、後ろから中谷が攻めるも、上手く前に落として攻守交代と思いきや、小野田は立ち上がり、中谷が立ち上がってくると亀状態に潰れる。再開後、同じような展開で左背負いに潰れると、中谷は送り襟絞めに変化し、一本。京都大追いつく。
六鋒 中谷(6:00 引き分け)北川 六鋒
北川が引き込み、中谷が徐々に応じる展開。中谷が右手で背中越しに帯を狙うと、中谷は左足を捌き、乗り越える。北川は非常に窮屈な体勢に陥り、ピンチとなるが、一瞬の隙を突き、立ち上がることに成功。さらに帯取り返し気味に横に振り、ピンチを脱し、体勢を整える。中谷が前に潰し、後ろに回り込んだところでそのまま。試合場中央に戻り再開。ここは北川の守りも固く、一瞬の隙で立ち上がり、さらに正対して引き込み、股の間から後ろに抜け出し、中谷の背中に着く。腕絡み返しで返そうと試みるも、中谷の守りも固く時間。
七鋒 中村(6:00 引き分け)徐 七鋒
徐は、ケンカ四つクロスから背中を抱き込み、そのまま足に絡みつつ下に潜り込む。中村は、左手て女の首裏の襟を掴み引き付ける。一呼吸置き、徐が反時計回りにローリングすると上下逆になるも、中村が左手で徐の右手を送りさらに半回転させ上になることに成功。この攻防で、徐の拘束が緩んだことで、中村が胸を合わせることに成功。次いで、抱えられていた右手を抜き、徐の左脇を掬い、両手で首裏の襟を掴む。徐は二重絡みで耐えるも、徐々に体を伸ばされ苦しい体勢に。徐は左手を中村の首にあてがい、無理矢理ねじ込みスペースを作る。中村の体が浮き上がるが、再び密着される。今度は左脇から右手をねじ込み、スペースを作る。驚異的な腕力。何とか極めたい中村だったが、この力を警戒してか極めることが出来ない。逆に徐は同様にスペースを作り、起き上った中村に密着し、後ろに回り込むことに成功。横返しを狙うも果たせず、再び下になる。双方とも取り切れず、引き分け。
中堅 黒田△(3:12 崩袈裟固)〇藤井 中堅
黒田が引き込んだところに合わせ、右手で脇を差し、胸を合わせ、右足一本を絡ませる体勢を藤井が作る。このチャンスをじっくりと攻め、左手で黒田の襟を掴み、腕も抱え、足を一気に抜いて崩れ袈裟固めが完成。北海道大1人リード。
七将 妹尾〇(1:04 縦四方固)△藤井 中堅
藤井が右横巴投げで大きく妹尾を崩すが、妹尾も反応良く足をパスしようとすると、嫌った藤井がうつ伏せに逃げようとする。このチャンスにすかさず妹尾が引き込み返しで捲り、横四方固めに抑え込む。拘束が甘く、一旦逃げられるも、縦四方固めに変化し、一本。すぐに追いつく。
七将 妹尾(6:00 引き分け)荒田 七将
体格に上回る妹尾が、引手襟でプレッシャーを掛け、奥襟を狙う。荒田は上手く距離を取り、時計を進める。残り時間2分を切り、この展開を打開しようと妹尾が巴投げから寝技に誘うも、荒田は深追いせず立つ。妹尾は左内股、巴投げと仕掛けるも、荒田はしっかりと対応し、手堅く引き分け。
六将 堀田(6:00 引き分け)新野 六将
開始早々、タックル気味に新野が座り込み、堀田が後ろに着く、堀田はここから横返しで再三抑え込むチャンスを演出するも、体幹の強い新野はことごとくこれを跳ね返す。開始から時間まで堀田が攻めるが、新野の堅い守りを崩せず引き分け。
五将 富沢(6:00 引き分け)池田 五将
富沢右、池田左のケンカ四つ。池田がドロップ式の体落としに入るも、富沢はかわす。再び池田が体落としを打ち込むも、富沢が潰し、後ろから攻める。しかし、池田の亀は固く、有効な攻めが見いだせないまま時計が進む。1分を切り、強引に攻めるも余裕をもって池田にかわわされ時間。
四将 泉△(3:22 合わせ技)〇佐藤輝 四将
泉右、佐藤左のケンカ四つ。組手はやや泉が有利に進め、佐藤輝は防御にウェイトを置く。双方とも決定機を見いだせなかったが、試合中盤、泉が右支え釣り込み足に飛び込むと、この戻り際に佐藤輝がタイミングの良い左払い腰(結果的に足が届かず、内股の形になる)に入ると、体を支え釣り込み足から戻すタイミングとかち合い、泉が大きく吹っ飛ぶ。一本相当の技だが、主審は技あり(七帝あるある)。そのまま、鬼神の表情で横四方固めに抑え込み、合わせ技で一本勝ち。
三将 上野〇(4:34 片手絞め)△佐藤輝 四将
巧みな組手で佐藤輝を前に潰し、後ろから絞めを狙う。場外近くであったため、主審はそのままを宣し、試合場中央に移す。しつこく絞めを狙う上野がついに捉えるが、これを力で振り切り佐藤輝は脱出。しかし、不用意に立ち上がったところ、後ろから上野に飛びつかれ、再び攻められる。これまで、右からのみの絞めを、後ろから足を入れ、体を伸ばし、両方から絞めを狙う。ついに、襟を捉え、絞めが極まる。三度同点に追いつく。
三将 上野(6:00 引き分け)今井 三将
上野左、今井右のケンカ四つ。互いに釣り手を持ち、引手争いから上野が引き込む。今井が素早く反応し、足を捌いて一旦攻め、立ち上がる。今井が二本持ち、釣り手を振って右背負いに飛び込む。上野が引き込むも、今井は付き合わない。ならば瞬間技で勝負と、ケンカ四つクロスの組手から上野が巴十字を狙うが、今井も心得て捌く。ここで上野が治療。
再開後、引手争いから、上野が左小内刈りからきびす返しにつなぎ、今井はうつ伏せに逃げる。後ろについて攻めたいところだが、今井も素早く立ち上がり待て。再び、上野が巴で引き込むも、今井は持ち上げ待て。上野は何とか抜いて、副将の横森を引っ張り出そうとしているが、逆に今井はこのまま手堅く引き分け、横森にバトンを渡そうとしている。上野が両袖の巴で引き込むが、今井は距離を取り、膠着状態。隙を見て、今井が立ち上がり待て。ケンカ四つクロスから釣り手を背中に入れ、足元に滑り込むも、今井もしっかり対応し効果なし、ならば足にしがみつき、後ろに着こうとするも今井が頭を抑えて後ろに回り込み、背中に付かれてしまう。何とか向き合い、足に絡みつくも、今井は冷静に対処し、再び後ろに着く。何とかしたい、上野は立ち上がろうとした今井の足を取り、追いかけるも縺れて場外に出て待て。残り1分。今井は組手で時間を使い、焦れて巴に飛び込む上野を落ち着いて捌き、肘関節を取りにきたのも腕を抜いて立ち上がる。残り時間は17秒。上野が背負いの飛び込むも、しっかり今井が潰し、両者が離れたところで時間。
副将 山﨑△(8:30 縦四方固)〇横森 副将
両チームのエース同士の対戦。準決勝で大将同士の一番を制し、意気の上がる山﨑に対し、今大会初登場の横森。身長は横森がやや上回るも体重はほぼ同じ。組手は両者右の相四つ。横森、引手と釣手をほぼ同時に叩き入れ、首裏に入れた釣手で圧を掛け、頭が下がったところで肩越しに帯を狙う。前に歩かせ、帯を掴み、前に潰してチャンスを伺う。帯と裾をまとめて持ち、肘を外側から抑えての引き込み返し(いわゆる縦返し)とSRTを交互にさらし、プレッシャーを掛ける。山﨑の守りも固く、横森と言えども攻略は簡単ではない。縦に大きく回転させることに成功するも、再びうつ伏せになり、逆に足を取られそうになるが、辛うじて防ぐ。ここで畳がズレて待て。
中央で再開するも、なかなか攻略の糸口が見いだせない。縦返しが完全に防がれたところで、横森は国士館返しに方針変更。これで山﨑の体の下に足を潜り込ますのに成功すると、ここから再び縦返しを狙う。山﨑はこれを察知し、左腕を張って上体を起こし防御する。この結果、横森の右脇が空き、力が入らずに終わる。再び頭側からアプローチし、右膝の内側で山﨑の頭を引っ掛け、横に回すことを試みるも、対処される。
次いで、ローリングでの返しを挑み、一瞬山﨑の体が返るもすぐに戻る。
残り時間2分を切り、横森に疲労の色が見て取れるようになる。
1分を切り、有効な攻撃を見いだせず、引き分けが濃厚と誰もが思った頃、国士館返しで山﨑の下に潜り込み、ローリング(ネルソン)で返し、崩れ袈裟固めに抑え込む。この時点で残り25秒。
決まったかと思ったが、山﨑も力を振り絞り、縦四方に変化した横森の足を捉え解けた。(残り13秒)
横森諦めず、掴まれた足を蹴って抑え込んだのはタイムアップとほぼ同時。主審は抑え込みを宣告。
ここから縦四方に変化し、30秒抑えきり、劇的な一本勝ち。時間は8分30秒。まさに薄氷の勝利。
大将 田仲△(1:54 横四方固)〇横森 副将
大勝負を紙一重で切り抜けた横森。体力的にも厳しい。田仲は何とかして横森を抜き、大将勝負に持ち込みたい。体格では横森が大きく上回り、ケンカ四つクロスから股中体落としで田仲を潰す。立ち上がりかけたところで、背中越しに帯を取り、引き込み返しで上になり、左手を脇から差し、田仲の左襟を掴み、立たせないようにしながら呼吸を整える。田仲は何度か立ち上がろうと試みるも、上からの圧力が強く果たせない。この状態から横森が引き込み返しで田仲の上に乗り、上半身をしっかりと極め、足を抜きに掛かる。横四方に抑え込むと、何度も気合の声を上げ、抑え込みを継続する横森。何とか逃げようと抵抗するも、横森は逃がさず、一本勝ち。主審の一本のコールのあと、横森は仰向けになりダイノジ。両手で顔を覆い、一呼吸のちに起き上る。
渡辺 大将
改めて全試合を見直しましたが、北海道大のチームとしての成熟度が高かった。それは、チームとしての戦術、フィジカルともに完成されつつある印象です。
準決勝までの勝ち上がりは完璧に近い内容。一人抜いて次は引き分けるのが鉄則ですが、これが徹底されていました。そして、エース横森に託せばなんとかなるという思考が徹底されていた。
準決勝までは、大将に横森選手は配され、俺まで回すなよという無言のプレッシャーがあったと思いますが、それぞれの選手がしっかりと役割を果たし、7人残し、4人残し、5人残しと圧勝で決勝進出。まるで、ここまでは自分たちの仕事と言わんばかりの試合運びでした。
そして、決勝。とにかく無理をしないで後ろに繋ぐ。副将に配されたエース横森に襷を渡すんだという意識が感じられました。
それが一番感じたのは、三将の今井選手。一人抜いて意気の上がる上野選手の攻撃を、徹底的に封殺。勝負したい気持ちもあったと思いますが、引き分けることが最大の目標と言わんばかりの試合運びでした。
そして、エースの横森選手。
ここ数年、七帝戦を見ていますが、明らかに異質の存在です。
あの場面、あの展開で取る力は尋常ではない。見る者を感動させる稀有な存在です。
どうしたら、あのような選手が生まれるのだろうと考えさせられました。
恐らく、七帝戦という独特な文化だから生まれた選手なのではないでしょうか?
昭和27年の第1回大会から今大会までの長年に渡る積み重ね、そして、先鋒から繋がる積み重ね、日頃の稽古でこれを常に意識していたからこそ、あの土壇場で発揮することができたのではないでしょうか。自分だけであれば到底踏ん張れなかったと思いますが、歴代の先輩、一緒に試合や稽古をする仲間の思いがあるからこそ、火事場のクソ力が発揮されるのだと思います。
その意味では、七帝戦ほど、OB、OGが会場に集う試合はないかも知れませんね。
横森選手と山﨑選手の戦評にも書きましたが、基本的な戦略は縦返しで取りたかったのだと思いますが、相手の山﨑選手もそれは心得ている。最後に国士館返しからローリングのネルソンを選択したのは、途中で一度国士館返しで手応えを得たからだと思いますが、それを選択する戦術眼が素晴らしいです。
抑え込んで万事休すとなりかけた山﨑選手も、必死に足を絡んで一度は逃げたのも凄かった。そこで諦めることなく、すぐに足を抜いた横森選手も凄かった。
あの場面、抑えた瞬間に、決まったと思って気が緩みやすいものですが、そんなことはありませんでしたね。
主審が抑え込みを宣したのは、8:00。正に終了直前に抑え込んだことになります。
こんな試合、二度と見ることはないのではと思わずにいられませんでした。
そして、大将の田仲選手との試合でも落ち着いて、自分の強みをぶつけていました。
抑え込んでからの、気合の発声は自然と出たことでしょう。
エースとして、主将として、地元開催、そして4連覇(しかも勝って当たり前という風潮)が掛かるプレッシャーの中、よくぞあのような試合をできたと思います。
横森選手の引退ブログ
この中で印象的なコメントがありました。
引退ということですが、歯学部なので6年まで出場して欲しいと思います。
余談
私が鎌倉で一緒に稽古しているM君(名誉のため伏字)。
M君は、京都大のOBで、今でも試合に出ている30歳を超えたばかりの若手ですが、横森選手と稽古をして、2分余りで抑えられたそうです。
M君はブラジリアン柔術の大会でも優勝し、日本ベテランズや実業団の試合にもチャレンジしていますが、その選手を2分で葬るそうです。
横森選手の規格違いが分かると言うものです。
決勝で惜しくも敗れた京都大。
戦前は、もっと差があるのではと思っていましたが、大健闘だったと思います。先手を取られても、粘り強く戦い、同点でエース対決に持ち込んだのは目論見通りだったでしょう。
欲を言えば、上野選手が横森選手と戦い、スタミナをロスさせた上で山﨑選手と対戦させたかったでしょう。
そう考えると、六将の堀田選手と新野選手の対戦で取り切れなかったのがもったいなかったですね。チャンスが非常に多かっただけに、あの試合を取っていたら分からなかった。
決勝戦があそこまで盛り上がったのも、京都大の健闘があったからです。
次鋒戦から2連敗した時は、このまま一方的な展開になるかと思いましたが、それを盛り返す地力は見事でしたね。
決勝でも活躍した、上野選手、妹尾選手が残りますので、来年も頑張って欲しいですね。
初日
第1試合場
第2試合場
2日目
第1試合場
第2試合場
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結果は、男子が北海道大が4連覇を達成し、女子は東京大が優勝で幕を閉じました。
今大会は稀に見る激戦で、男子決勝を中心に振り返りたいと思います。
素晴らしい試合でした。

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北大は4連覇を掛けて挑む大会。
15人制の勝ち抜き試合。
勝敗は1本勝ちのみで、優勢勝ちはなし。
女子団体戦
1回戦
1-1 名古屋大 △(1人残し)〇 北海道大
1-2 九州大 △(2人残し)〇 東京大
1-3 京都大 △(1人残し)〇 東北大
敗者復活リーグ戦
名古屋大 △(2人残し)〇 九州大
九州大 〇(2人残し)△ 京都大
名古屋大 〇(2人残し)△ 京都大
1位が準決勝進出
1.リーグ戦の各試合、引分の場合は代表戦を1回のみ行う
2.リーグ戦の代表戦で勝敗が決しない場合は引き分けとする
3.リーグ戦の結果が同率の場合、残り人数で比較し、残り人数でも優劣がつかない場合は抽選とする
※残り人数には代表戦の内容は含めない
準決勝
準1 北海道大 △(1人残し)〇 東京大
準2 東北大 △(2人残し)〇 九州大
決勝
東京大 〇(1人残し)△ 九州大
女子は戦力の充実した東京大が、安定した試合運びで59回大会(平成22年開催)以来、15年ぶりの優勝です。
女子は選手不足が顕著ですが、他大学の練習生が出場できるルールも活用し、危なげない試合運びが印象的でした。
そして、各大学(特に名古屋大)は留学生の活躍も目に留まりました。
しかも、技術レベルも高く、フィジカルも高いことから、来年度の活躍も楽しみです。
しかし、どうやってあんなに留学生が参加するようになったのでしょう?
そして、京都大学の柚⽊選手。
一人ながら団体戦を行い、獅子奮迅の活躍。抜き勝負というルールから、一人でもエントリーは可能ですが、それを実際に行うのは大変なこと。小さな体に大きな闘志を秘めていたのだと思います。
その戦いぶりは素晴らしかった。
男子団体戦
1回戦
1-1 大阪大 △(2人残し)〇 九州大
1-2 東京大 △(2人残し)〇 京都大
1-3 東北大 〇(9人残し)△ 名古屋大
敗者復活戦1回戦
敗1 北海道大 〇(7人残し)△ 大阪大
敗2 東京大 〇(5人残し)△ 名古屋大
敗者復活戦3回戦
敗3 北海道大 〇(4人残し)△ 東京大
準決勝
準1 九州大 △(1人残し)〇 京都大
準2 東北大 △(5人残し)〇 北海道大
決勝
京都大 △(2人残し)〇 北海道大
決勝までの勝ち上がり
上のブロックからは、九州大と京都大がそれぞれ大阪大と東京大を2人残しで破り、準決勝進出。
敗れた大阪大が北海道大との敗者復活戦で戦うも、圧倒的な力の差を見せつけられ7人残しの大差で敗戦。
東北大と名古屋大は9人残しで東北大が準決勝に進み、敗れた名古屋大と東京大との敗者復活戦は、東京大が5人残しで勝ち、準決勝進出を懸け、北海道大と対戦します。
この試合も北海道大は安定した試合運びで力の差を見せ、4人残しで準決勝進出です。
ここまでの試合ぶりを見る限り、北海道大の力が頭一つ抜けている印象。
2試合ともエース横森選手を大将に温存し、それ以外の選手で力の差を見せつける横綱相撲です。
よく鍛えられていました。
九州大、京都大はしぶとい試合運びで、東北大もまとまっていますが、やや北海道大との差を感じました。特にその差はエースの差と感じる部分も。
この時点では、北海道大が圧勝するのではと思っていました。
準決勝
九州大 △(1人残し)〇 京都大
東北大 △(5人残し)〇 北海道大
九州大対京都大
九州大と京都大の対戦は、大将同士までもつれます。
京都大が先制するも、九州大中堅の野中選手見事な大外刈りで一本勝ちし追いつきます。
追いつかれた京都大は、七将妹尾選手が同じく七将のブランドン選手を抑えきり、再びリードを奪います。
追い詰められた九州大は、副将の清水選手が京都大3将の八田選手を左小外刈りで下がらせ、そのまま左大外刈りに飛び込めば、大きく飛んで畳に埋める見事な一本。立ち技でなかなか一本を取らない、七帝戦においても、文句のない技でした。次の試合を手堅く引き分け、いよいよ大将同士の決戦です。
九州大有川選手、京都大山﨑選手の対戦。体格で上回る山﨑選手が捕まえようと追いかけるも、有川選手は一向に付き合わず、主審が試合を止め、口頭による注意を与えます。再開後、距離を取りたい有川選手を捕まえ、引き込んできたタイミングで上から潰し、亀にさせ、SRTで捲り、足1本を与えておいてその間に上半身を固め、満を持して足を抜き、崩れ袈裟固めが完成。有川選手、逃げる術はなく、2分23秒一本勝ち。
熱戦は大将同士の戦いで決着が着きました。大将に山﨑選手を置いていたオーダーの勝利とも言えます。
東北大対北海道大
準決勝もう1試合の東北大と北海道大は、東北大の健闘もありましたが、意外な大差がつきました。
東北大次鋒の青木選手が1人抜くも、北海道大の三鋒北川選手に抜き返され、北川選手はもう一人抜いて3人目で引き分け逆転に成功。続く北海道大四鋒の佐藤選手が見事な内股で一本勝ちしリードを広げるも、東北大六鋒の上出選手が抜き返し一人差に戻します。
北海道大五鋒の大野選手が上出選手を抑え込み、差を詰めさせず、続く東北大七鋒の宍戸選手を2回抑え込み合わせ技で一本勝ちし、リードを広げます。北海道大は、勝った後、引き分けてリードを作りますが、東北大は勝った試合の後に負けてしまい、なかなか波に乗れません。
東北大七将の金野選手が北海道大六鋒の今井選手に珍しい反則勝ち(恐らく消極的な戦いの累積による反則勝ち)をし、追撃の狼煙を上げます。(七帝ルールでは引き込みを認めていますが、今試合ではいきなり亀の状態になることを消極的と判断し、指導を与えていました)
下記の第 15 項~第 30 項の反則行為に対して「注意」または「警告」と判定する。15. 故意に場外に出ること。16. 立ったままで、試合者が不注意に場外へ出る行為を繰り返すこと。なお、不注意で場外に出たと判断される場合は、まず一度試合場の中央で試合するように口頭で指導する。17. 故意に相手を場外に押し出すこと。18. 相手と組もうとしないこと。19. 立ったままで、試合者が互いの手の指を組み合す姿勢を続けること。20. 立ったまま柔道衣や帯を持った相手の手を膝や足で蹴り離すこと。21. 主審が「待て」と宣告した後に、関節技以外の技を施すこと。22. 胴部、頚部または頭部を直接両脚で挟んで締めること。23. 背が畳についている相手を引き上げ、または抱き上げた後、故意に相手を突き落とすこと。24. 帯の端や上衣の裾を相手の手に一周以上巻きつけること。25. 相手の顔面に直接手や足を掛けること。但し、袈裟固めで抑え込まれている選手が「巧み」に顔面に足を掛けて逃れた場合は反則としない。26. 絞め技等の際に、故意または繰り返し、襟や手により口から上の顔面に危害を加えること。27. 固め技のとき、故意に相手の帯や襟に直接足を掛けること。また相手の指を逆にして引き離すこと。28. 相手の3本以下の指を握りつづけること。29. 故意または繰り返し服装等を乱すこと。また審判員の許可を得ないで勝手に帯等を締め直すこと。30. 主審の指示に従わないこと。下記の第 31 項~第 34 項の反則行為を、故意または繰り返し行った場合、「注意」と判定する。なお、故意か否かは審判員が判断するものとする。31. 相手の袖口や裾口に指を入れること。32. 双手刈り等に似せて相手の足にしがみつくこと。33. 組際の引き込みに際し、両手で相手の帯より上を握らず引き込むこと。34. 引き込みに似せて、組まずに倒れ込むことや座り込むこと。ただし、途中で持ち手が外れたような場合は、故意でなければ反則行為と判定しない。
ここで勢いに乗りたいところですが、北海道大七鋒の藤井選手がしっかりと取り返し、差を詰めさせません。藤井選手は六将望月選手も抜き、五将松本選手と引き分け。ここから引き分けて着実に歩を進め、東北大大将の掃本選手と北海道大五将の小野田選手が対戦し、粘る掃本選手を横四方固めで捉えて一本勝ち。北海道大決勝進出。4連覇に挑みます。過去に京都大の10連覇はあったものの、4連覇を果たした大学はありません。
決勝
京都大 対 北海道大
先鋒 八田-佐藤仁 先鋒
次鋒 松下-坂下 次鋒
三鋒 木船-久我 三鋒
四鋒 牛澤-大野 四鋒
五鋒 森-小野田 五鋒
六鋒 中谷-北川 六鋒
七鋒 中村-徐 七鋒
中堅 黒田-藤井 中堅
七将 妹尾-荒田 七将
六将 堀田-新野 六将
五将 富沢-池田 五将
四将 泉-佐藤輝 四将
三将 上野-今井 三将
副将 山﨑-横森 副将
大将 田中-渡辺 大将
両校とも、副将に主将でエースを配置するオーダーです。
戦評(敬称略)
先鋒 八田(6:00 引き分け)佐藤仁 先鋒
八田右、佐藤仁左のケンカ四つ。両者組手争いで先手を取ろうとするも互いに釣り手を持って、引手争いに終始する。散発的に佐藤仁が左体落としに飛び込むも、八田は冷静に対処。両者無理をせず、立ち技の攻防で終了
次鋒 松下△(3:09 横四方固)〇坂下 次鋒
両者右の相四つ。体格に劣る松下が組み合う早々引き込んで下になる。坂下はこれに応じず持ち上げて待て。背中越しに帯を持った坂下が前に潰し、抑え込みを狙うも足を交わせず立ち上がる。再び背中越しに帯を取り、前に潰した坂下が左手を脇に差し入れ、掬って返そうとすると、松下も勝負と見て捲り変えそうとするも、帯を持たれた右手が効いて果たせず、坂下が上になり、胸を合わせてそのまま横四方固めに抑え込む。
三鋒 木船△(4:51 横四方固)〇坂下 次鋒
木船左、坂下右のケンカ四つ。やや体格に劣る木船は距離を取るが、これを潰したい坂下が背中越しに帯を狙う。坂下が木船の釣り手の袖を抑え、そのまま右内股に入り、木船を潰す。頭側に着き、右手で帯を持ち、上からプレッシャーを掛け、返すタイミングを伺う。時間は3分以上あり、じっくりと攻め手を探る。木船の右肘外側を左手で掴み、一気に引き抜いて返そうとする。瞬間的に上を向いた木船は慌ててうつ伏せに戻るが、坂下はこのチャンスを逃さんと腕絡み返しを晒し、それを避けて立ち上がろうとした木船を引き込み返しで後ろに放り、そのまま上になる。右足一本を与え、その間に肩越しの右手、脇を差した左手、共に帯を持ち、しっかりと固める。一呼吸置き、左足で蹴って右足を抜き、横四方固めへ。坂下2人抜き。
四鋒 牛澤〇(1:07 送襟絞め)△坂下 次鋒
互いに右の相四つ。これ以上離される訳には行かない京都大は、何としても1点返したいところ。坂下はしっかりと引き分け、リードを保ちたい。しかし、引手を抑えられたところで、水から潰れてしまう。後ろから足を差し込み、体を伸ばされた坂下は牛澤の送り襟絞めを耐えられず参った。
四鋒 牛澤(6:00 引き分け)久我 三鋒
1点を返し、意気が上がる牛澤が、前に出てプレッシャーを掛けると、久我は引き込む。牛澤は足を捌きつつ左に回り、後ろに着くことに成功する。そのまま、絞め、返して抑え込みを狙うも、久我の守りが固く、極められず引き分け。北海道大1人リード。
五鋒 森(6:00 引き分け)大野 四鋒
開始早々大野選手が引き込み、下から浅野返しを狙いますが果たせず、そのまま後に抜け出し、森の後ろに着くことに成功。亀になった森の頭側に回り、右手で帯と裾をまとめて持ってプレッシャーを掛けます。左手で首裏の襟を持ち、揺さぶりますが守りも固い。この攻防で徐々に場外に近づいたため、主審がそのままと発し、試合場中央に移動。再開後、突如横三角で返そうと2度試み、大きく崩れるも持ち直す。同様の攻防が時間まで続き、引き分け。
六鋒 中谷〇(1:29 送襟絞め)△小野田 五鋒
何とか追いつきたい京都大中谷が、右小外刈りで小野田をうつ伏せにし、後ろから攻め手を探すも、諦め立つ。再開後、中谷が奥襟を叩くと、小野田は潰れるが中谷は深追いせず待て。主審より口頭の注意が小野田に与えられる。引手一本を中谷が作ると、小野田は左背負いに潰れ、後ろから中谷が攻めるも、上手く前に落として攻守交代と思いきや、小野田は立ち上がり、中谷が立ち上がってくると亀状態に潰れる。再開後、同じような展開で左背負いに潰れると、中谷は送り襟絞めに変化し、一本。京都大追いつく。
六鋒 中谷(6:00 引き分け)北川 六鋒
北川が引き込み、中谷が徐々に応じる展開。中谷が右手で背中越しに帯を狙うと、中谷は左足を捌き、乗り越える。北川は非常に窮屈な体勢に陥り、ピンチとなるが、一瞬の隙を突き、立ち上がることに成功。さらに帯取り返し気味に横に振り、ピンチを脱し、体勢を整える。中谷が前に潰し、後ろに回り込んだところでそのまま。試合場中央に戻り再開。ここは北川の守りも固く、一瞬の隙で立ち上がり、さらに正対して引き込み、股の間から後ろに抜け出し、中谷の背中に着く。腕絡み返しで返そうと試みるも、中谷の守りも固く時間。
七鋒 中村(6:00 引き分け)徐 七鋒
徐は、ケンカ四つクロスから背中を抱き込み、そのまま足に絡みつつ下に潜り込む。中村は、左手て女の首裏の襟を掴み引き付ける。一呼吸置き、徐が反時計回りにローリングすると上下逆になるも、中村が左手で徐の右手を送りさらに半回転させ上になることに成功。この攻防で、徐の拘束が緩んだことで、中村が胸を合わせることに成功。次いで、抱えられていた右手を抜き、徐の左脇を掬い、両手で首裏の襟を掴む。徐は二重絡みで耐えるも、徐々に体を伸ばされ苦しい体勢に。徐は左手を中村の首にあてがい、無理矢理ねじ込みスペースを作る。中村の体が浮き上がるが、再び密着される。今度は左脇から右手をねじ込み、スペースを作る。驚異的な腕力。何とか極めたい中村だったが、この力を警戒してか極めることが出来ない。逆に徐は同様にスペースを作り、起き上った中村に密着し、後ろに回り込むことに成功。横返しを狙うも果たせず、再び下になる。双方とも取り切れず、引き分け。
中堅 黒田△(3:12 崩袈裟固)〇藤井 中堅
黒田が引き込んだところに合わせ、右手で脇を差し、胸を合わせ、右足一本を絡ませる体勢を藤井が作る。このチャンスをじっくりと攻め、左手で黒田の襟を掴み、腕も抱え、足を一気に抜いて崩れ袈裟固めが完成。北海道大1人リード。
七将 妹尾〇(1:04 縦四方固)△藤井 中堅
藤井が右横巴投げで大きく妹尾を崩すが、妹尾も反応良く足をパスしようとすると、嫌った藤井がうつ伏せに逃げようとする。このチャンスにすかさず妹尾が引き込み返しで捲り、横四方固めに抑え込む。拘束が甘く、一旦逃げられるも、縦四方固めに変化し、一本。すぐに追いつく。
七将 妹尾(6:00 引き分け)荒田 七将
体格に上回る妹尾が、引手襟でプレッシャーを掛け、奥襟を狙う。荒田は上手く距離を取り、時計を進める。残り時間2分を切り、この展開を打開しようと妹尾が巴投げから寝技に誘うも、荒田は深追いせず立つ。妹尾は左内股、巴投げと仕掛けるも、荒田はしっかりと対応し、手堅く引き分け。
六将 堀田(6:00 引き分け)新野 六将
開始早々、タックル気味に新野が座り込み、堀田が後ろに着く、堀田はここから横返しで再三抑え込むチャンスを演出するも、体幹の強い新野はことごとくこれを跳ね返す。開始から時間まで堀田が攻めるが、新野の堅い守りを崩せず引き分け。
五将 富沢(6:00 引き分け)池田 五将
富沢右、池田左のケンカ四つ。池田がドロップ式の体落としに入るも、富沢はかわす。再び池田が体落としを打ち込むも、富沢が潰し、後ろから攻める。しかし、池田の亀は固く、有効な攻めが見いだせないまま時計が進む。1分を切り、強引に攻めるも余裕をもって池田にかわわされ時間。
四将 泉△(3:22 合わせ技)〇佐藤輝 四将
泉右、佐藤左のケンカ四つ。組手はやや泉が有利に進め、佐藤輝は防御にウェイトを置く。双方とも決定機を見いだせなかったが、試合中盤、泉が右支え釣り込み足に飛び込むと、この戻り際に佐藤輝がタイミングの良い左払い腰(結果的に足が届かず、内股の形になる)に入ると、体を支え釣り込み足から戻すタイミングとかち合い、泉が大きく吹っ飛ぶ。一本相当の技だが、主審は技あり(七帝あるある)。そのまま、鬼神の表情で横四方固めに抑え込み、合わせ技で一本勝ち。
三将 上野〇(4:34 片手絞め)△佐藤輝 四将
巧みな組手で佐藤輝を前に潰し、後ろから絞めを狙う。場外近くであったため、主審はそのままを宣し、試合場中央に移す。しつこく絞めを狙う上野がついに捉えるが、これを力で振り切り佐藤輝は脱出。しかし、不用意に立ち上がったところ、後ろから上野に飛びつかれ、再び攻められる。これまで、右からのみの絞めを、後ろから足を入れ、体を伸ばし、両方から絞めを狙う。ついに、襟を捉え、絞めが極まる。三度同点に追いつく。
三将 上野(6:00 引き分け)今井 三将
上野左、今井右のケンカ四つ。互いに釣り手を持ち、引手争いから上野が引き込む。今井が素早く反応し、足を捌いて一旦攻め、立ち上がる。今井が二本持ち、釣り手を振って右背負いに飛び込む。上野が引き込むも、今井は付き合わない。ならば瞬間技で勝負と、ケンカ四つクロスの組手から上野が巴十字を狙うが、今井も心得て捌く。ここで上野が治療。
再開後、引手争いから、上野が左小内刈りからきびす返しにつなぎ、今井はうつ伏せに逃げる。後ろについて攻めたいところだが、今井も素早く立ち上がり待て。再び、上野が巴で引き込むも、今井は持ち上げ待て。上野は何とか抜いて、副将の横森を引っ張り出そうとしているが、逆に今井はこのまま手堅く引き分け、横森にバトンを渡そうとしている。上野が両袖の巴で引き込むが、今井は距離を取り、膠着状態。隙を見て、今井が立ち上がり待て。ケンカ四つクロスから釣り手を背中に入れ、足元に滑り込むも、今井もしっかり対応し効果なし、ならば足にしがみつき、後ろに着こうとするも今井が頭を抑えて後ろに回り込み、背中に付かれてしまう。何とか向き合い、足に絡みつくも、今井は冷静に対処し、再び後ろに着く。何とかしたい、上野は立ち上がろうとした今井の足を取り、追いかけるも縺れて場外に出て待て。残り1分。今井は組手で時間を使い、焦れて巴に飛び込む上野を落ち着いて捌き、肘関節を取りにきたのも腕を抜いて立ち上がる。残り時間は17秒。上野が背負いの飛び込むも、しっかり今井が潰し、両者が離れたところで時間。
副将 山﨑△(8:30 縦四方固)〇横森 副将
両チームのエース同士の対戦。準決勝で大将同士の一番を制し、意気の上がる山﨑に対し、今大会初登場の横森。身長は横森がやや上回るも体重はほぼ同じ。組手は両者右の相四つ。横森、引手と釣手をほぼ同時に叩き入れ、首裏に入れた釣手で圧を掛け、頭が下がったところで肩越しに帯を狙う。前に歩かせ、帯を掴み、前に潰してチャンスを伺う。帯と裾をまとめて持ち、肘を外側から抑えての引き込み返し(いわゆる縦返し)とSRTを交互にさらし、プレッシャーを掛ける。山﨑の守りも固く、横森と言えども攻略は簡単ではない。縦に大きく回転させることに成功するも、再びうつ伏せになり、逆に足を取られそうになるが、辛うじて防ぐ。ここで畳がズレて待て。
中央で再開するも、なかなか攻略の糸口が見いだせない。縦返しが完全に防がれたところで、横森は国士館返しに方針変更。これで山﨑の体の下に足を潜り込ますのに成功すると、ここから再び縦返しを狙う。山﨑はこれを察知し、左腕を張って上体を起こし防御する。この結果、横森の右脇が空き、力が入らずに終わる。再び頭側からアプローチし、右膝の内側で山﨑の頭を引っ掛け、横に回すことを試みるも、対処される。
次いで、ローリングでの返しを挑み、一瞬山﨑の体が返るもすぐに戻る。
残り時間2分を切り、横森に疲労の色が見て取れるようになる。
1分を切り、有効な攻撃を見いだせず、引き分けが濃厚と誰もが思った頃、国士館返しで山﨑の下に潜り込み、ローリング(ネルソン)で返し、崩れ袈裟固めに抑え込む。この時点で残り25秒。
決まったかと思ったが、山﨑も力を振り絞り、縦四方に変化した横森の足を捉え解けた。(残り13秒)
横森諦めず、掴まれた足を蹴って抑え込んだのはタイムアップとほぼ同時。主審は抑え込みを宣告。
ここから縦四方に変化し、30秒抑えきり、劇的な一本勝ち。時間は8分30秒。まさに薄氷の勝利。
大将 田仲△(1:54 横四方固)〇横森 副将
大勝負を紙一重で切り抜けた横森。体力的にも厳しい。田仲は何とかして横森を抜き、大将勝負に持ち込みたい。体格では横森が大きく上回り、ケンカ四つクロスから股中体落としで田仲を潰す。立ち上がりかけたところで、背中越しに帯を取り、引き込み返しで上になり、左手を脇から差し、田仲の左襟を掴み、立たせないようにしながら呼吸を整える。田仲は何度か立ち上がろうと試みるも、上からの圧力が強く果たせない。この状態から横森が引き込み返しで田仲の上に乗り、上半身をしっかりと極め、足を抜きに掛かる。横四方に抑え込むと、何度も気合の声を上げ、抑え込みを継続する横森。何とか逃げようと抵抗するも、横森は逃がさず、一本勝ち。主審の一本のコールのあと、横森は仰向けになりダイノジ。両手で顔を覆い、一呼吸のちに起き上る。
渡辺 大将
改めて全試合を見直しましたが、北海道大のチームとしての成熟度が高かった。それは、チームとしての戦術、フィジカルともに完成されつつある印象です。
準決勝までの勝ち上がりは完璧に近い内容。一人抜いて次は引き分けるのが鉄則ですが、これが徹底されていました。そして、エース横森に託せばなんとかなるという思考が徹底されていた。
準決勝までは、大将に横森選手は配され、俺まで回すなよという無言のプレッシャーがあったと思いますが、それぞれの選手がしっかりと役割を果たし、7人残し、4人残し、5人残しと圧勝で決勝進出。まるで、ここまでは自分たちの仕事と言わんばかりの試合運びでした。
そして、決勝。とにかく無理をしないで後ろに繋ぐ。副将に配されたエース横森に襷を渡すんだという意識が感じられました。
それが一番感じたのは、三将の今井選手。一人抜いて意気の上がる上野選手の攻撃を、徹底的に封殺。勝負したい気持ちもあったと思いますが、引き分けることが最大の目標と言わんばかりの試合運びでした。
そして、エースの横森選手。
ここ数年、七帝戦を見ていますが、明らかに異質の存在です。
あの場面、あの展開で取る力は尋常ではない。見る者を感動させる稀有な存在です。
どうしたら、あのような選手が生まれるのだろうと考えさせられました。
恐らく、七帝戦という独特な文化だから生まれた選手なのではないでしょうか?
昭和27年の第1回大会から今大会までの長年に渡る積み重ね、そして、先鋒から繋がる積み重ね、日頃の稽古でこれを常に意識していたからこそ、あの土壇場で発揮することができたのではないでしょうか。自分だけであれば到底踏ん張れなかったと思いますが、歴代の先輩、一緒に試合や稽古をする仲間の思いがあるからこそ、火事場のクソ力が発揮されるのだと思います。
その意味では、七帝戦ほど、OB、OGが会場に集う試合はないかも知れませんね。
横森選手と山﨑選手の戦評にも書きましたが、基本的な戦略は縦返しで取りたかったのだと思いますが、相手の山﨑選手もそれは心得ている。最後に国士館返しからローリングのネルソンを選択したのは、途中で一度国士館返しで手応えを得たからだと思いますが、それを選択する戦術眼が素晴らしいです。
抑え込んで万事休すとなりかけた山﨑選手も、必死に足を絡んで一度は逃げたのも凄かった。そこで諦めることなく、すぐに足を抜いた横森選手も凄かった。
あの場面、抑えた瞬間に、決まったと思って気が緩みやすいものですが、そんなことはありませんでしたね。
主審が抑え込みを宣したのは、8:00。正に終了直前に抑え込んだことになります。
こんな試合、二度と見ることはないのではと思わずにいられませんでした。
そして、大将の田仲選手との試合でも落ち着いて、自分の強みをぶつけていました。
抑え込んでからの、気合の発声は自然と出たことでしょう。
エースとして、主将として、地元開催、そして4連覇(しかも勝って当たり前という風潮)が掛かるプレッシャーの中、よくぞあのような試合をできたと思います。
横森選手の引退ブログ
この中で印象的なコメントがありました。
1年前、主将になったとき、15人全員を超弩級にして自分が試合をしなくていいくらい強く、本当に困ったときに自分が出動するチームを作ろうと思いました。これ、まさにそんなチームになっていたのではないでしょうか。
引退ということですが、歯学部なので6年まで出場して欲しいと思います。
余談
私が鎌倉で一緒に稽古しているM君(名誉のため伏字)。
M君は、京都大のOBで、今でも試合に出ている30歳を超えたばかりの若手ですが、横森選手と稽古をして、2分余りで抑えられたそうです。
M君はブラジリアン柔術の大会でも優勝し、日本ベテランズや実業団の試合にもチャレンジしていますが、その選手を2分で葬るそうです。
横森選手の規格違いが分かると言うものです。
決勝で惜しくも敗れた京都大。
戦前は、もっと差があるのではと思っていましたが、大健闘だったと思います。先手を取られても、粘り強く戦い、同点でエース対決に持ち込んだのは目論見通りだったでしょう。
欲を言えば、上野選手が横森選手と戦い、スタミナをロスさせた上で山﨑選手と対戦させたかったでしょう。
そう考えると、六将の堀田選手と新野選手の対戦で取り切れなかったのがもったいなかったですね。チャンスが非常に多かっただけに、あの試合を取っていたら分からなかった。
決勝戦があそこまで盛り上がったのも、京都大の健闘があったからです。
次鋒戦から2連敗した時は、このまま一方的な展開になるかと思いましたが、それを盛り返す地力は見事でしたね。
決勝でも活躍した、上野選手、妹尾選手が残りますので、来年も頑張って欲しいですね。
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