第75回全国七大学柔道優勝大会


7月4日~5日、福岡県の福岡武道館で開催されました。
昨年、決勝は劇的な幕切れでしたが、今年もそれを上回ると言っても過言ではない幕切れ。
事実は小説よりも奇なりと言いますが、正にそれを体現した大会でした。


男子団体戦は15人制のオーダー自由の抜き勝負。
試合時間は6分で、副将戦、大将戦は8分の長丁場。

女子団体戦は3人制のオーダー自由の抜き勝負。
試合時間は6分。
女子は特別ルールで練習生の出場が認められます。

男子団体戦
1回戦
1-1 東京大 △(1人残し)〇 北海道大
1-2 京都大 〇(3人残し)△ 大阪大
1-3 名古屋大 △(4人残し)〇 東北大

北大は終始東大に先手を取られ、苦しい戦いを強いられるも、副将、大将の活躍と取るべき選手が確実に得点を挙げることで大将同士の戦いを制しました。
京大は中盤まで競るも、1点ビハインドで迎えた七将八田選手の3人抜きの活躍で逆転に成功。そのままリードを保ち余裕を持って逃げ切りに成功。
東北大は順調に勝ち星を重ね、1人少ない名大を追い詰め、名大副将の原選手に巻き返されるも、それまでの貯金が物を言い、4人残しで名大を破りました。

敗者復活戦
1回戦
敗1-1 九州大 △(5人残し)〇 東京大
敗1-2 大阪大 △(1人残し)〇 名古屋大

東大は鈴木選手の3人抜き、石野選手の2人抜きの活躍でリードを広げ、最後は五将植田選手が九大大将の立野選手を破り、5人残しで九大に勝ちました。
阪大は先鋒平野選手の2人抜き、三鋒水戸岡選手の4人抜きの活躍もあり大きくリードしますが、名大も副将の原選手が5人抜き、大将の石田選手が3人抜きし、ついに大将同士の決戦に。阪大大将の石原選手が技ありを先制しますが、石田選手は横三角で捉え、関節を極め、大逆転勝ち。副将、大将の二人で9人を抜き、名大の大逆転勝利です。

2回戦
敗2-1 名古屋大 △(7人残し)〇 九州大

名大は副将原選手、大将石田選手に負担が掛からないようにしたいところですが、原選手の相手は七鋒の中村選手。さすがに疲労もあり、ここは引き分け。大将の石田選手が意地で一人を抜きますが、九大七将廣田選手に抑え込まれ、反撃もここまで。

3回戦
敗3-1 東京大 〇(2人残し)△ 九州大

準決勝
準1 北海道大 △(3人残し)〇 京都大
準2 東北大 △(2人残し)〇 東京大

準決勝第1試合は、1回戦で東京大に終始リードを奪われる苦しい展開を逆転で勝ち上がった5連覇を狙う北海道大と昨年決勝で相まみえた京都大の対戦。
北大の先鋒が幸先よく一人抜くもすぐさま京大が抜き返し同点。抜き勝負の鉄則は、抜いたら分けるですが、それができなかった北大は痛い。逆に京大は次鋒同士の戦いをしっかりと引き分け、襷を繋ぎます。同点ですが、試合の流れは京大にあります。三鋒戦引き分けのあと、北大はポイント期待される佐藤輝選手、大野選手でしたが、京大も泉選手、牛澤選手とぶつかり北大としては痛い引き分け。
引き分け2試合を挟み、中堅戦で北大小野選手が京大八田選手に袖車絞めで敗れる。ポイントを期待された小野選手でしたが、逆に失うという得点以上のダメージを北大に与える大きな1勝を八田選手が挙げました。続く東大戦で殊勲の得点を挙げた池田選手と手堅く引き分けリードを保持。同点に追いつきたい北大ですが、引き分け2試合を挟み、副将の新野選手が登場。京大は三将の妹尾選手が立ちふさがります。昨年も強かった妹尾選手ですが、さらに成長し絶対的なエースの風格。新野選手を横四方固め、大将の粟国選手も横四方固めで下し、3人残しで京大が昨年のリベンジに成功。

準決勝第2試合は、東北大と敗者復活戦をしぶとく勝ち上がった東京大の対戦。
東北大先鋒の高橋選手が1人抜き、次を引き分けリードを得るも、東大三鋒のポイントゲッター富澤選手がすかさず抜き返し、次を引き分け同点に追いつきます。引き分けを挟み、五鋒同士の対戦は、東北大松本選手が東大小栁選手、松永選手の2名を抜き3人目の中井選手と引き分ける活躍。東大は中堅のポイントゲッター鈴木選手に期待が掛かります。期待に応え六鋒近藤選手を腕緘で仕留めますが、続く西野選手に防がれ、差はひとつ。
続く東大植田選手が東北大髙橋選手を横四方固めに捕え、続く黒岩選手の猛攻を小内刈り技ありを失いつつも凌ぎ切り、同点に持ち込みます。引き分けを2試合挟み、四将同士の対戦で東大石野選手が期待に応え東北大三代選手を横四方固めで下し、続く試合を引き分けついに東大がリードを奪います。
同点に追いつきたい東北大副将上出選手は引き分け、大将のアドリアン選手に託しますが、東大副将の川名選手が送り襟絞めで仕留め、2人残しで東大の勝利。

決勝
京都大 △(1人残し)〇 東京大
先鋒 南井△(0:15 大内刈り)〇武内 先鋒
次鋒 木船 (6:00 引き分け) 武内 先鋒
三鋒  森 (6:00 引き分け) 川名 次鋒
四鋒  泉 (6:00 引き分け) 佐藤 三鋒
五鋒 牛澤 (6:00 引き分け) 小柳 四鋒
六鋒 中村 (6:00 引き分け) 吉野 五鋒
七鋒 稲葉△(1:53 横四方固)〇鈴木 六鋒
中堅 中谷 (6:00 引き分け) 鈴木 六鋒
七将 田仲 (6:00 引き分け) 阪上 七鋒
六将 上野 (6:00 引き分け) 西村 中堅
五将 富沢 (6:00 引き分け) 中井 七将
四将 八田 (6:00 引き分け) 石野 六将
三将 堀田 (6:00 引き分け) 植田 五将
副将 妹尾〇(2:33 横四方固)△北村 四将
副将 妹尾〇(4:23 横四方固)△白野 三将
副将 妹尾 (6:00 引き分け) 富澤 副将
大将 野原△(6:00 合わせ技)〇山﨑 大将

優 勝 東京大
準優勝 京都大
第三位 北海道大
第三位 東北大


先鋒 南井△(0:15 大内刈り)〇武内 先鋒
南井選手が引き込もうと重心が後ろに下がった瞬間を武内選手が逃さず、右大内刈りで叩き落として15秒一本。引手一本の状態からタイミングよく飛び込みました。

次鋒 木船 (6:00 引き分け) 武内 先鋒
いきなりビハインドを背負った木船選手。ケンカ四つの両者は引手争いをしつつ足技中心に立ち技で推移。試合時間半分を過ぎたところで、武内選手がタイミングの良い右背負投げを打つも、木船選手が上手くかわしそのまま後に着くも場外でそのまま。中にポジションを移して再開です。ここから木船選手が足のネルソンから巧みに返し、武内選手の左腕を抱え込み上半身を制する絶好の形を作り、足を抜きに掛かります。武内選手は抱えられた左腕が伸びないように肩越しに背中を掴み、必死に防御します。残り1分4秒の時点で足が抜け、縦四方固めに捕えるも必死に逃げた武内選手が再び足を絡み解けた。(14秒)残り時間は45秒。再び足を抜きたい木船選手。足が抜けた瞬間に武内選手がうつ伏せに逃げ、絶好のチャンスを逃します。残り20秒。このまま武内選手が守り切り、引き分け。
この試合が流れを大きく作りました。守った東大は意気が上がります。

三鋒 森 (6:00 引き分け) 川名 次鋒
早いタイミングで同点に追いつきたい京大サイドに対し、リードを保ちたい東大サイド。両者の思惑を乗せた対戦は、同時に巴投げで引き込むというスタート。正確には先に動いたのが森選手でその動きに応じたのが川名選手。その結果、先に上に出れたのが川名選手という皮肉。そのまま後に回り、試合をコントロールしようとしますが、森選手が背中の相手毎立ち上がり待て。再開後、タイミングの良い巴投げで大きく相手を崩した川名選手が、後ろについて絞めを晒しつつ抑え込みを狙う展開。このまま時計を着実に進め時間。

四鋒 泉 (6:00 引き分け) 佐藤 三鋒
昨年、決勝の北大戦で敗戦を喫した4年生泉選手は心に期すものがあったはず。しかし、東大4年生の佐藤選手もそれは同様。両者低い体勢から佐藤選手が引き込んで寝技に。佐藤選手はクロスガードからラッソーガードを晒しつつしっかりとディフェンス。攻め切れないと見た泉選手が持ち上げて待て。再開後、再び佐藤選手が引き込みハーフガードの体勢に。これも攻めきれず泉選手が持ち上げる。今度は先に泉選手が引き込むも、佐藤選手は付き合わず待て。次いで同時に引き込むと、先に上に出た泉選手がハーフガードを交わし、足一本を与えた形ながら横四方固めに上半身を固めます。ここから残り1分半、必死に足を抜きに掛かるも佐藤選手が踏ん張り時間。

五鋒 牛澤 (6:00 引き分け) 小柳 四鋒
昨年の決勝でも得点を挙げた牛澤選手に期待が高まります。まずは立ち技から。両者ケンカ四つのため、釣り手を持って引手争い。小柳選手が先に引手を抑えるシーンが目立ち、牛澤選手は有効な攻撃を入れられない。牛澤選手の右内股は威力あるも小柳選手は受け切る。やや危機を察知したか、両袖の展開に持ち込み、展開を塩漬けしようと企むも、牛澤選手は巴投げを見せリセット。小柳選手は組手に時間を使い、場所を最大限生かしつつ時計を進める。牛澤選手の飛び十字も余裕を持って交わす。寝技は徹底して付き合わず、立っては引手争いの展開に業を煮やした牛澤選手は両襟で右内股を連続して打ち込み、大きく崩すも投げ切れず待て。この展開に手応えを感じたか、次も同様に攻めるが小柳選手は凌ぎ切り引き分け。

六鋒 中村 (6:00 引き分け) 吉野 五鋒
開始早々吉野選手が引き込みクローズドガードへ。ここから何とかこじ開けたい中村選手と、展開を膠着させたい吉野選手の攻防が続き、結果的に吉野選手が封殺に成功。

七鋒 稲葉△(1:53 横四方固)〇鈴木 六鋒
ここで東大はポイントゲッターの鈴木選手が登場。京大稲葉選手としてはしっかりと凌ぎたいところ。しかし、開始早々鈴木選手は奥襟を掴み、前に引きずり倒し亀の体勢に捕らえ横三角へ。一度回し、体勢が整う前に2度目の横三角で回し、仰向けに捕らえるも稲葉選手が必死にブリッジで逃げ再び亀に。再び横三角で回すと、稲葉選手は足を挟んで耐えることを選択。鈴木選手は落ち着いて腕を掬い、胸を合わせて足を抜き、横四方固め完成。東大のリードは2人に。

中堅 中谷 (6:00 引き分け) 鈴木 六鋒
ここで京大は昨年決勝で一人抜いた中谷選手が登場。ここは何としても抜き返し、差を詰めたいところ。リーチに勝る鈴木選手が引手一本から組み際の大内刈りを見せると、やや中谷選手は慎重な進退に。組み止めたい中谷選手に対し、距離を取りたい鈴木選手の構図。ようやく組み合うと、中谷選手は足取りを狙う。良い狙いだったものの、鈴木選手が何とか切り、大内刈りでリセット。中盤まで組手争いに終始した両者に主審から口頭注意が与えられると、両袖を絞る展開に。これに明確な打開策を見いだせない中谷選手。残り1分、再び組手争いとなりそのまま時間。

七将 田仲 (6:00 引き分け) 阪上 七鋒
昨年、大将戦で苦汁を飲まされた田仲選手は、挽回のチャンス。阪上選手は引き込んでクローズドガードの体勢に。このガードをなかなか突破できませんでしたが、残り1分半のところで左手を阪上選手の背中から回して左手を抑え、その瞬間に足を一本パスすることに成功。そのまま胸を合わし、上半身を極めたいところでしたが、阪上選手も隙間を作り、足を入れて距離を取り脱出に成功。田仲選手としては最大のチャンスを逃すことに。帯が解け、そのままの後再開後阪上選手が引き込むと、それに合わせて足を何とかパスしようと田仲選手が猛チャージ。右に左に上にと動きまくり、ついに抑え込むことに成功。しかし、胸の抑えが甘く7秒で逃げられる。足一本の形から十字固めを狙いにいったため、逆に上に出られてしまい万事休す。

六将 上野 (6:00 引き分け) 西村 中堅
京大は得点力の期待できる上野選手が登場。対する東大西村選手は100キロ近い体格の持ち主。互いに左相四つに組み合うも、技が出ない。業を煮やして上野選手が引き込むも、西村選手が嫌い待て。再開後、上野選手が再び引き込み、今度は西村選手も応じますが頃合いを見計らい、立ち上がろうとするも上野選手はこれを逃がさず後ろに付くことに成功。絞めと抑え込みを狙いつつ、腰絞めに移行するも西村選手は立ち上がり待て。上野選手が引き込むも、西村選手は付き合わず待て。1分を切り、上野選手が引き込むと西村選手も応じ、下から何とか返そうと試みるも、後ろに付くのが精一杯で時間。

五将 富沢 (6:00 引き分け) 中井 七将
身長差は10センチ以上あるものの、体重はほぼ互角の両者。基本両袖の絞り合いでの展開となり、そこから袖釣り込みを狙う中井選手がペースを握る。展開を打開しようと富沢選手が引き込むも中井選手は付き合わず待て。中井選手は引手襟から袖釣り狙いで再三崩す。富沢選手は引き込んで寝技を狙うも、中井選手は徹底して嫌う。中井選手は引手襟で組み際の大内と袖釣り狙いをしつつ、富沢選手の引手を警戒する。富沢選手はこの展開を突破できず時間。

四将 八田 (6:00 引き分け) 石野 六将
京大は得点の期待できる八田選手ですが、東大も同じく得点の期待できる石野選手。両者、ほぼ体格は同じ。八田選手は両襟の強気の組手。石野選手は脇を突き、釣り手は袖を持つ守りの構え。八田選手はしっかり組んで攻めたいのですが、石野選手が釣り手を切って組手争いに持ち込み、時間を消費します。石野選手の脇を突いた組手で、距離を詰められず有効な攻撃を出せない八田選手。ラスト30秒を切り、肩車の奇襲を見せますが、石野選手に捌かれ、寝技で攻められて時間。京大はこのあたりで何とかして差を詰めたいところでしたが、東大はそれを許さず。

三将 堀田 (6:00 引き分け) 植田 五将
堀田選手左、植田選手右のケンカ四つ。両者釣り手を持って引手争いになる。植田選手が引き込み、スパイダーガードでコントロールします。このガードを堀田選手は突破できず、両者の距離が離れたところで立ち上がります。今度は堀田選手が引き込みますが、足を捌いて植田選手が頭に付くも、堀田選手が潜り込んで下になり、ハーフガードから横に振ってパスして上になりますが、植田選手は再びスパイダーガードでコントロールします。足を抱え、後ろに回り込んだところで植田選手が立ち上がりそのまま堀田選手が落ち、クローズドガードで守ります。足を捌いて植田選手が頭に付くことに成功するも、堀田選手が潜り込んでハーフガードに。立ち上がりたい植田選手の隙を突き、三角で捉えますが持ち上げて待て。再開後植田選手が引き込みスパーダ―ガードをすると、これを嫌った堀田選手が踏みつけるようにして離れる。これに対し、主審は協議の末注意を与える。再開後、時間がない中、植田選手が引き込み、嫌って立って勝負を狙う堀田選手となるが、決定打はなく引き分け。

副将 妹尾〇(2:33 横四方固)△北村 四将
京大は一番期待される妹尾選手が登場。今大会でも活躍し、昨年から一回りスケールアップしています。東大はここをどう凌ぐかが問題です。開始早々北村選手が引き込むも、妹尾選手の圧に負け、うつ伏せに逃げてしまいます。横三角をチラつかせながら、本命は縦返し。一度大きく返すも北村選手も先に回って回避。再びうつ伏せで守ります。妹尾選手は再度縦返しで返し、逃がさないように足を掛けながら回転させ、足一本を絡ませたままで上半身を固めにかかります。ここは一瞬の隙をついて北村選手が脱出に成功しますが、命綱の左手を妹尾選手が離さなかったことで、北村選手の右手が殺され、自由を奪われます。この手は一旦放して3度目の縦返しを狙いますが、ここは北村選手が何とか耐え、妹尾選手は立ちを選択。再開後、北村選手が引き込みますが、それを読んでいた妹尾選手に足を捌かれ、上半身を固められる位置まで侵入を許してしまいます。後は、足を抜いて横四方固めへ。1点返します。北村選手としては、もう少し粘って疲労させたかったところです。

副将 妹尾〇(4:23 横四方固)△白野 三将
妹尾選手は少なくともここも抜きたいところ。白野選手は抜かれるにしても時間を長く使って疲れさせたいところ。妹尾選手がケンカ四つクロスグリップで近寄れば、危機を察知し白野選手はそのままうつ伏せに。これに妹尾選手は付き合わず、立ちを選択。頭を付けあい、両者腰を引いた状態から妹尾選手が肩越しに帯を取り、引き込み返し様に引きずり込み、すぐさまうつ伏せの相手の背中につきます。ここから縦返しの狙いますが、白野選手も心得てポイントをずらして回避します。白野選手は自身の右手を左前方に伸ばし、左肩を浮かすようにして防御。妹尾選手は白野選手の左肩を下げ、右肘を引き出したいのですが、それをさせません。このため、縦に回転させられても、右肘の拘束が甘くなり、うつ伏せに逃げることができています。この攻防では妹尾選手が攻略できず、立ちを選択。時間は約半分の4分弱経過。白野選手は疲労感強く、すぐに立てません。再開後、ケンカ四つの両者ですが、妹尾選手が引手の右手で肩越しに帯を取り、間髪入れず引き込み返し。虚を突かれた白野選手は防御できず回ってしまい、上半身を固められ、足を抜かれて横四方固めへ。
この2戦、東大は守る意識が強かったですが、亀(うつ伏せ含む)で8分凌ぐのは難しい。妹尾選手は逃げる選手を取る手段を準備していたのが素晴らしい。普通、あれだけ強力な縦返しがあれば、それに頼るものですが、隠し玉の右引き込み返しを用意しているのが素晴らしい。

副将 妹尾 (6:00 引き分け) 富澤 副将
ついに同点に追いついた京大。東大はポイントゲッターの富澤選手。悪くて引き分け、出来れば取りたいところです。体重では妹尾選手が上回りますが、身長では富澤選手が上回ります。開始早々、妹尾選手が巴投げ、そこから足取りを狙いますが富澤選手は切って待て。妹尾選手が座り込み、寝技に誘いますが富澤選手は深追いせず、組手争い様に時間を使います。この展開が3分半ほど続き、展開を変えたい妹尾選手が立ち上がります。立ち技でも組手争いで時間が消費されますが、残り3分半辺りで妹尾選手が引手一本から変則の肩車に飛び込み左回転しながら左手で富澤選手の左足を掴みます。虚を突かれた富澤選手は横倒しに倒れるも主審はノーコール。(IJFルールならば技あり相当)すぐにうつ伏せになり、立ち上がると、妹尾選手が右引き込み返しの二の矢を打ちます。これを何とか耐えるも、妹尾選手は前に出て後ろに押し倒そうと試みます。辛くもうつ伏せに富澤選手は逃げるも、格好の縦返しを狙うポジションを確保。ここが勝負所と縦返しを狙いますが、3人目ということ、一気に攻勢を掛けたことから息が上がり、腕の力も落ちていたようで、引付が甘く立たれてしまいます。再び立ち技になり、組手争いに時間を使い、妹尾選手が巴投げから寝技勝負を試みますが、富澤選手は冷静に回避。ラスト20秒妹尾選手が払い巻き込みで一発を狙いますが、これはやや強引。富澤選手に後ろに付かれ、そのまま時間。3人がかりで妹尾選手を止めることに成功。

大将 野原△(6:00 合わせ技)〇山﨑 大将
同点での大将戦です。京大野原選手は引き分けて代表戦へ、東大山﨑選手は自分が決めるという狙いが見えます。体格は五分でケンカ四つの両者、山﨑選手が前に出て、それを野原選手が捌く展開。組めても釣り手のみの状態が続き、展開を打開したい山﨑選手が自身の右手を前に出し、誘います。これが功を奏し、引手の確保に成功。同時に釣り手で背中を叩きながら大外刈りへ。野原選手も返そうと抱き着きますが、これを見て大内刈りに変化。河津掛けに近い絡み方でしたが、主審は技ありを宣告。背中から落ちたものの、勢いが足りなかったので、技ありは妥当ですが、河津掛けではなかったか?主審、副審の一人からは死角の位置なので、見えなかったのは致し方ないが、もう一人の副審はどう判断したか?野原選手が返しているので、山﨑選手が意図的に掛けたようには感じませんでしたが、微妙な判定には違いありません。
山﨑選手はそのまま上半身を固め、腕を縛って抑え込みを狙いますが、腕の縛りが甘い。縛るよりも、手首を抑えて固定したり、腕緘を狙った方が良さそうでしたが、その余裕はなさそう。結果、不十分な縛りのため逃がすことに。意を決し、縦四方、袈裟固め狙いに野原選手を跨ぐと、上半身の拘束が甘くなりうつ伏せに逃がします。
東大ベンチはガックリ。
京大ベンチは九死に一生を得た感じ。
山﨑選手は立ち技を選択。残り2分18秒。
野原選手は今まで以上に距離を取り、組手争いすら拒否の姿勢。場外際でようやく捕まえた山﨑選手が、大内刈りから内股に変化し投げますが、主審はノーコール。(IJFルールでは技あり相当)技ありと言われても仕方ない技でした。山﨑選手は寝技を選択せず、強引に立ち上がります。野原選手も疲労が溜まり、距離を取れなくなったので、山﨑選手が捕まえるシーンが増えます。大内刈り、内股、大外刈りと、良いタイミングで技を繰り出しますが、極めが甘く逃がしてしまいます。
残り1分、このまま引き分けが頭を過ります。
引手を先に持ち、奥を叩きながら大内刈り、内股を狙う山﨑選手に対し、必死に防戦する野原選手。潰れながらも引手を放さず、山﨑選手が何とか振りほどこうとするシーンは、七帝ならではの名シーンの一つではないでしょうか。恐らく、個人戦ならば起きないシーン。チームのために必死に戦う両選手です。
この攻防でしっかりと時間を使い、残智時間は15秒。
野原選手は引き分けられると思ったのではないでしょうか?そこに僅かな隙が生まれたと思います。
距離を取り、組まなければ良かったものの、場外際に詰まり、組んでしまう。危ないと思い、潰れることを選択したのは良かったですが、離れようとした相手を放さなかった。そして大外刈りを受け、潰れる。ここで亀になっていれば良かったものの、また組みにいってしまった。両膝を付いた姿勢は内股の防御にあまりにも弱い。七帝の勝利の女神は、愚直なまでに勝利を目指した山﨑選手に微笑む。
浅く掛けた内股は、野原選手の頭を下げるのに最適。横回転を引手と釣手で増幅し、一気に投げ切る。
投げた瞬間、時計は残り4秒。
主審は、技ありを宣告し、合わせて一本のコールをした時点で残り1秒、時計が止まったのは0秒でした。
この時の山﨑選手と野原選手の表情。
山﨑選手は勝利の喜びよりも、安どの表情。
野原選手は守れなかったことに対する悔しさで、崩落する。
山﨑選手は、最後の礼でも、喜ぶよりもやり切ったという、一種無表情な感情が顔に出ていませんでした。
全員整列時、恐らく京大副将の妹尾選手が立ち上がれない野原選手を抱きかかえていました。
この両名は、まだ来年があります。この悔しさを糧に成長できるはずです。


決勝は、東大先鋒の武内選手の踏ん張りが光りました。
電光石火の大内刈りでの一本勝ち、続く京大次鋒木船選手の猛攻を、抑え込まれながらも逃げ切る粘りを見せ、リードを保ったのが大きかった。京大は、セオリー通りここで追いついておきたかった。
ここで追いついていれば、その後の試合展開も大きく変わったはず。しかし、それをさせなかった武内選手が殊勲です。
リードを広げた鈴木選手も見事でした。2人差のリードを持って妹尾選手と対戦できたのも大きかった。
妹尾選手は期待に応え、同点まで巻き返し、延長戦に突入かと誰もが思ったはず。
京大大将の野原選手は、何とか引き分けて代表戦に持ち込もうとしていました。それに対し東大大将の山﨑選手は、何が何でも自分が決めると思い込んで乗るか反るかの勝負に出ていました。
この差が明暗を分けたのだと思います。
東大ベンチは、代表戦を覚悟していたでしょうし、むしろそれで良いを思っていたかも知れません。応援する仲間も勝利を願いつつも、引き分けでいいと思っていたのではないでしょうか?
そんな中、山﨑選手だけは絶対自分が決めると思い込んでいたように見えます。最後の魂の籠った内股は、主審は技ありを宣しましたが、一本で良かった技でした。
ラスト1秒、諦めないことの大切さを学ばされた試合でしたね。
そして、守る方の弱さを感じた試合でもありました。

昨年に続き、京大はラスト1秒に泣くことになりましたが、小説でも書けない顛末です。
2年続けてのラスト1秒。言葉になりません。

東大の優勝は53年ぶりだということです。
50年の思いの詰まった内股でした。


勝ち残れませんでしたが、名古屋大の原選手と石田選手の縦横無尽の活躍。
敗者復活戦の大阪大で二人で9人抜いた大逆転劇は、歴史に残る勝利ではないでしょうか?
これも印象に残る試合でした。


女子団体戦
1回戦 

1-1 名古屋大 △(1人残し)〇 京都大
1-2 東京大 〇(1人残し)△ 東北大
1-3 北海道大 〇(1人残し)△ 九州大
京大木崎選手が1人でエントリーながら、3人抜きの快挙。
東大は2人でエントリーの東北大に対し、手堅く2試合を引き分け勝利。
北大は中堅戦で抜かれるも、大将遠藤選手が2人を抜き逆転勝ち。


敗者復活リーグ戦
敗1-1 名古屋大 △(2人残し)〇 東北大
敗1-2 東北大 △(2人残し)〇 九州大敗1-3 名古屋大 △(2人残し)〇 九州大

東北大が先鋒小林選手の3人抜きで名大を下す。
九大は先鋒戦引き分けの後、中堅の藤永選手が見事な十字固めで一本勝ちし、2人の濃しで東北大を振り切りました。
九大と名大は、九大先鋒の臼井選手が1人抜いて引き分け。中堅の伊藤選手が一本勝ちし、2人の濃しで名大を下す。
この結果、敗者復活戦から九大が準決勝に進出。


準決勝
準1 京都大 △(3人残し)〇 東京大
準2 北海道大 △(2人残し)〇 九州大

3位決定戦
京都大 △(3人残し)〇 北海道大

決勝
東京大 〇(代表戦)△ 九州大

先鋒 中山 (6:00 引き分け) 伊藤 先鋒
中堅  乾 (6:00 引き分け) 藤永 中堅
大将  陳 (6:00 引き分け) 松本 大将 
代表 中山〇(2:41 横四方固)△藤永

本戦では先鋒から大将まで引き分け。流れ的には東京大が取り切れず、九州大が凌いだ展開。
代表戦では、開始早々藤永選手が巴投げで引き込みますが、中山選手が噛み付き気味に足をパスし、頭に回り込み、何とか藤永選手が足をねじ込み耐えていましたが、じわじわと体を折りたたみ足を抜くことに成功。横四方固めに捕え、2分41秒一本勝ち。
優 勝 東京大
準優勝 九州大
第三位 北海道大
第四位 京都大

女子は北海道大(5名)、東北大(2名)、東京大(3名)、名古屋大(4名)、京都大(1名)、九州大(4名)という布陣。
昨年優勝の東京大は昨年のメンバー3人が残り、2位の九州大は1人のみ。
名古屋大は2人が残り、北海道大、東北大は1人が残ります。
北海道大の遠藤和々選手は、高校時代全国ベスト16の実績を持つ選手。
女子は3名の抜き勝負ということで、なかなか読みにくいですね。



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