東京オリンピック後、初のグランドスラム大会が、次のオリンピックが開催されるフランス・パリで10月16日~17日の2日間開催されました。
今大会は、東京オリンピックが終わり、3年後のパリオリンピックに向けた新たなスタートで、選手の入れ替わりの可能性が垣間見える大会と言えます。
2日間の大会を、初日、2日目に分けて、独断と偏見で総括したいと思います。



10月16日
男子60キロ級、66キロ級、73キロ級、
女子48キロ級、52キロ級、57キロ級、63キロ級

10月17日
男子81キロ級、90キロ級、100キロ、100キロ超級
女子70キロ級、78キロ級、78キロ超級


日本代表
男子代表
60キロ級 永山竜樹(了徳寺大職)→欠場、古賀玄暉(旭化成)
66キロ級 田中龍馬(筑波大)、藤阪泰恒(パーク24)
73キロ級 橋本壮市(パーク24)、原田健士(ALSOK)
81キロ級 藤原崇太郎(旭化成)、佐々木健志(ALSOK)
90キロ級 村尾三四郎(東海大)、長澤憲大(パーク24)
100キロ級 飯田健太郎(旭化成)
100キロ超級 佐藤和哉(日本製鉄)、小川雄勢(パーク24)

女子代表
48キロ級 古賀若菜(山梨学院大)
52キロ級 武田亮子(コマツ)
57キロ級 舟久保遥香(三井住友海上)
70キロ級 大野陽子(コマツ)、新添左季(自衛隊体育学校)
78キロ級 髙山莉加(三井住友海上)、泉真生(コマツ)

試合動画


男子
81キロ級 藤原崇太郎(旭化成)、佐々木健志(ALSOK)
優 勝 佐々木健志(ALSOK)
準優勝 GRIGALASHVILI,Tato(GEO)
第三位 GERELTUYA,Bolor-Ochir(MGL)
第三位 藤原崇太郎(旭化成)
第五位 GNAMIEN,Tizie(FRA)
第五位 CASSE,Matthias(BEL)
第七位 GRAMKOW,Tim(GER)
第七位 HEIJMAN,Jim(NED)

何と言っても佐々木選手の抜群のパフォーマンスぶりが見られた大会でした。
2021年世界選手権優勝ののCASSE,Matthias(BEL)選手、実力世界一の呼び声高いGRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手をいずれも相手にせず、やりたい放題で赤子の手を捻るがごとく一蹴しました。
組手、フィジカル、技のスピード、体捌き、極め力、何れも他を圧倒するパフォーマンスでした。
ちょっと負けることが想像できない感じでしたね。
不調の時は自爆することも多かったのですが、今回はそれもなし。一段上での試合ぶりで、同じ階級で佐々木選手を止める選手がいるだろうかと考えてしまいました。
試合開始からトップギアで入るため、ゴールデンスコアになった時にどうなるかという部分は気になりますが、大半はそれまでに試合が終わってしまうのだと思います。
藤原選手も手堅い柔道でしっかりと勝ち、GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手選手には敗れたもののCASSE,Matthias(BEL)選手には勝つなど結果を残しましたが、比較対象が悪いですね。
CASSE,Matthias(BEL)選手、GRIGALASHVILI,Tato(GEO)選手ともに悪い出来ではなかったと思いますが、佐々木選手の異次元の柔道に何もさせてもらえずでした。2人とも、間違いなく混戦の81キロ級でも頭一つ抜けた存在の選手です。それが、こんな結果ですから、開いた口が塞がらないというものです。
ちょっと言葉だけでは何とも表現しがたい。どんな言葉を並べても、佐々木選手の凄さを表せないと思います。
GERELTUYA,Bolor-Ochir(MGL)選手との準決勝。佐々木選手の内股が潰れて後ろから攻められた時ですが、右腕を取られそうになります。普通であれば、左手でフォローするなり、右腕を体の前に持ってくるなりすると思うのですが、そのままの位置で耐えきりました。相手は両手で右腕を取りにいっているのですが、取れないのです。地味な部分ですが、これってすごいことですよ。(動画では4:30あたりのシーンです)その後に内股を透かす場面では、内股を掛けやすいように体勢を整え誘っています。なかなか出来ないですよ。

昨年の全日本選手権で、王子谷選手を2回投げつけたのは、決してまぐれでも何でもなく、当たり前の出来事だったのかもしれませんね。
相手の状況を見極めて、勝負をするのが鉄則ですが、佐々木選手は相手を自分の状況に合わさせてしまう力があるように思います。何でも飲み込むブラックホールというか、台風というか。
逃れようと足掻いても、決して逃れることができない感じですね。
いや~凄かった。この強さのレベルはまるで、リアル西野新二です。




90キロ級 村尾三四郎(東海大)、長澤憲大(パーク24)
優 勝 長澤憲大(パーク24)
準優勝 KHALMURZAEV,Khusen(RUS)
第三位 EGUTIDZE,Anri(POR)
第三位 MAISURADZE,Luka(GEO)
第五位 村尾三四郎(東海大)
第五位 MATHIEU,Alexis(FRA)
第七位 DIAO,Abderahmane(SEN)
第七位 BORCHASHVILI,Wachid(AUT)

長澤選手はもちろん強いのですが、巧さが際立ってきたように感じます。今大会は特にそれが際立っておりましたが、ではそれが一発勝負となるオリンピックや世界選手権でどうかというと、まだ飲み込まれそうな気がします。そこが今後の課題でしょうか。
村尾選手は期待していただけに、今回の結果は残念でした。以前から指摘されていたパワー系対策が不十分で、敗戦したKHALMURZAEV,Khusen(RUS)選手戦は顕著でしたね。
正攻法の柔道ですから、それが通用しない(大概は通用してしまうのですが)時の対応ですね。相手の力を真正面から受け止めてしまい、それが自身の力を上回った場合、何も出来なくなってしまう。このあたりが長澤選手との一番の違いに感じます。
技の切れ味は階級随一だと思いますので、密着パワー系対策を考えて欲しいですね。
階級を上げたMAISURADZE,Luka(GEO)選手は、まだ適応できていない感じです。2位のKHALMURZAEV,Khusen(RUS)選手もトップクラスの選手からはひとつ落ちるように感じます。


100キロ級 飯田健太郎(旭化成)
優 勝 ADAMIAN,Arman(RUS)
準優勝 GONZALEZ,Asley(ROU)
第三位 SANEBLIDZE,Onise(SUI)
第三位 CATHARINA,Simeon(NED)
第五位 OLIVAR,Cedric(FRA)
第五位 KUMRIC,Zlatko(CRO)
第七位 LIMA,Lucas(BRA)
第七位 DELVERT,Clement(FRA)

飯田選手は押し気味に試合を進めながら、またしてもエアポケットに落ちるように隙を突かれやられてしまいました。柔道が正攻法なだけに読まれやすいというのはありますが、攻撃もやや単調なのが気になります。今回のように押し気味に試合を進めながら、落とすようでは世界ではなかなか勝てません。試合のペースも一定に淡々としているのも良くないのかもしれませんね。それと、技の連絡が少ないようにも感じます。元々技の切れ味は抜群なだけに、一発で投げることが出来てしまうので、その辺りの連絡技の充実もテーマかも知れませんね。階級の上位陣とはやや差がついてしまった印象です。
頑張って欲しいな~。
代表監督が大学の先輩でもある、鈴木監督に変わりましたので、一念発起して欲しいですね。
ADAMIAN,Arman(RUS)選手は安定していましたね。このメンバーでは頭一つ抜けた存在で、そのまま勝ち切りましたね。


100キロ超級 佐藤和哉(日本製鉄)、小川雄勢(パーク24)
優 勝 TASOEV,Inal(RUS)
準優勝 MARET,Cyrille(FRA)
第三位 SPIJKERS,Jur(NED)
第三位 TERHEC,Joseph(FRA)
第五位 ODKHUU,Tsetsentsengel(MGL)
第五位 KOKAURI,Ushangi(AZE)
第七位 KONOVAL,Christian(USA)
第七位 NDIAYE,Mbagnick(SEN)

佐藤選手はちょっと不用意な試合展開で強豪TASOEV,Inal(RUS)選手に敗れました。経験不足というところでしょうか。攻め手がなかったです。1試合だけでは何とも言い難いですね。
小川選手はしっかりと勝たなければならない相手だったと思いますが。全く良いところが出ませんでしたね。組んで圧力を掛けたいところでしたが、それが思うように出来ず、後手に回る展開で、小川選手の負けパターンでした。組んだ時の強さは定評がありますが、そこにたどり着くまでの手立てが課題ですね。

ちょっと重量級の出来は厳しかった。
81キロ級の佐々木選手が異次元だっただけに、他の階級は見劣りしましたね。
世界からは置いて行かれてる感じです。

女子
70キロ級 大野陽子(コマツ)、新添左季(自衛隊体育学校)
優 勝 新添左季(自衛隊体育学校)
準優勝 MATIC,Barbara(CRO)
第三位 大野陽子(コマツ)
第三位 JAGER,Hilde(NED)
第五位 SANTANA,Ellen(BRA)
第五位 PETERSEN POLLARD,Kelly(GBR)
第七位 TSERENDULAM,Enkhchimeg(MGL)
第七位 YEATS-BROWN,Katie-Jemima(GBR)

この日の新添選手は素晴らしかった。
男子のMVPが佐々木選手なら、女子は新添選手を推す。(古賀若選手、舟久保選手の出来も素晴らしかったですが、古賀若選手は勝って当然、舟久保選手は相手の力が少々落ちるということで)
今までは大外、内股を狙い、決まれば豪快な一本勝ち、ダメならそこからズルズルという印象でしたが、組手、足技のバリエーションが豊富になり、その結果大外、内股といった従来の得意技が生き、寝技への連動もスムーズで、これはちょっと隙がないなと思わせる試合展開でした。
大野選手、2021年世界チャンピオンのMATIC,Barbara(CRO)選手を同じような展開で下し、強さを見せつけました。
逆に大野選手はライバル対決に敗れ、3位決定戦もようやく勝つなど、もうひとつの出来でしたね。
MATIC,Barbara(CRO)選手は世界選手権がフロックと言われていますが、決勝に勝ち上がるのはさすがです。


78キロ級 髙山莉加(三井住友海上)、泉真生(コマツ)
優 勝 BABINTSEVA,Aleksandra(RUS)
準優勝 髙山莉加(三井住友海上)
第三位 LANIR,Inbar(ISR)
第三位 MALZAHN,Luise(GER)
第五位 STEVENSON,Karen(NED)
第五位 BOEHM,Alina(GER)
第七位 CAMARA,Sama Hawa(FRA)
第七位 POWELL,Natalie(GBR)

髙山選手の決勝までの勝ち上がりは順当でしたが、決勝はハマってしまいました。
潜在能力的に日本女子の78キロ級では一番高いのではと思わせることも多いのですが、敗れる時はあっけない側面もある印象です。その悪い方が決勝に出てしまったようです。
東京オリンピックでの濱田選手の安定感が凄すぎたので、比較すると大きく見劣りしますが、取り味のある立ち技は魅力ですね。
泉選手はちょっと強引な展開でした。狙いたい気持ちは分かりますが、もったいないです。
優勝したBABINTSEVA,Aleksandra(RUS)選手はこれがグランドスラム初優勝。まだ、粗削りですが一発があるのは魅力ですね。これをきっかけに伸びてくるでしょうか?


78キロ超級
優 勝 HERSHKO,Raz(ISR)
準優勝 FONTAINE,Lea(FRA)
第三位 HAYME,Coralie(FRA)
第三位 TOLOFUA,Julia(FRA)
第五位 NUNES,Rochele(POR)
第五位 M BAIRO,Anne Fatoumata(FRA)
第七位 KORO,Essohanam Noeline(TOG)
第七位 AMARSAIKHAN,Adiyasuren(MGL)

バラエティに富んだフランスの包囲網を潜り抜けHERSHKO,Raz(ISR)選手が優勝。
超級では小柄な部類ですので、スタミナと手数が大切です。それが上手く機能しましたね。
ここから上位を脅かすには、投げてポイントを取れる技だと思います。
フランス勢は一長一短で、現在の代表であるディッコ選手を脅かすには時間が掛かりそうですね。











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