12月13日、柔道の聖地講道館大道場で繰り広げられた24分間の死闘。
固唾を飲んで試合を見ていた方も多いと思います。
何を隠そう、私もその一人でした。
戦前の予想は丸山選手が有利。
試合の話になると、丸山選手が勝つと話していました。
今でも、その考えは間違っていないと思います。
では、何故丸山選手は敗れ、阿部選手は勝ったのか?
異様な雰囲気で試合は始まりました。
本戦の4分間はあっという間に過ぎ去り、予想通り延長戦へ。
ここまでの展開は、阿部選手が徹底的に丸山選手の釣り手を落とし、組ませずに、片手であっても先に技を繰り出す展開。
そして組めない丸山選手は、攻め手を欠く状況でした。
この流れは終始変わりませんでしたが、延長に入りスタミナが切れる阿部選手が徐々に失速すると思っていましたが(事実これまでの試合展開はそうでした)、今回に限ってはその兆候が全く見られませんでした。
恐らく、丸山選手の脳裏には、延長ゴールデンスコアに入るのは想定内。
そこまでは無理をせず、じっくりとプレッシャーを掛け、先攻してくる阿部選手のスタミナ切れに乗じて攻め手を強めるというような従来通りの戦略だったのでは?
グランドスラム大阪では敗れたものの、あの時の丸山選手のコンディションは良くなかった。
今回は万全で、万全ならば3連勝した時と同じように戦えば、必ず勝てると信じていた。
戦法としては、後の先に近い形ですね。
この戦い方、確かに手堅い反面、相手次第では自分が窮地に落ち込むこともあります。
今回は、正にそれにハマった感じがします。
試合が進むにつれ、徐々に攻め手が見つからず、焦ってきたように思います。
それを阿部選手のスタミナが切れないことが追い打ちをかける。
途中、右の一本背負いのフェイントから、引手を確保し、良い形を作れ出しましたが、ここでも強引に攻めきれなかった。
対する阿部選手は、今まで通りに戦ったら勝ち目は薄い。組んだら負けるということがインプットされていたと思います。
今までの相手ならば、組んでしまえば投げて終わりだったのが、丸山選手は自身の斜め上をいく投げの強さがあった。
3連敗した際は、攻め手を欠き、守ってしまった。
しかし、後の無くなったグランドスラム大阪では、なりふり構わず攻めて勝てた。
この経験は大きかったと思います。
今まで守って、守り切れなかったのが、攻めたら勝てた。
組まずに、どんな形でも先手で攻める。
指導を先に奪い、丸山選手を精神的に追い詰め、あわよくば指導3の反則勝ち。
焦った相手の隙を突く作戦だったと思います。
そして大枠は阿部選手の狙い通りの展開に。
コンディションも非常によく、スタミナ切れを起こさず、ケガによる中断も阿部選手に有利に運びました。
ワンマッチということも、阿部選手にはプラスだったことでしょう。
丸山選手は、攻めるタイミングが来ないことに徐々に焦ったのでしょうか。
そして雌雄を決するあの場面、阿部選手が小外を引っ掛け、大内刈りに浅入り、間合いを詰めもう一歩前に出たタイミングを狙い、丸山選手がカウンターの浮き技を仕掛けますが、ほぼそれと同時に阿部選手の大内刈りが飛び込みます。
これが、反射的なものなのか、偶然なのか、狙ったものなのかは分かりませんが、少なくとも丸山選手は動きの中でこの浮き技狙って掛けたと思います。
あのタイミングは間違っていない。
しかし、それを大内刈りで切り返す阿部選手が凄かった。
膝をやったかと思うような切り返し方。
体幹の強さを感じる切り返しです。
カウンターにカウンター返しです。
主審の判定は阿部選手の技あり。
これに異論はありませんね。
阿部選手の一番の勝因は、ワンマッチという特性を生かした先手を取る戦いと徹底した組手、そしてそれを支えたフィジカルだったと思います。
逆に丸山選手は、待ってしまった。普通に自分の柔道をすれば負けないと思っていたのでは。
確かに柔道は負けはしていませんが、勝負には敗れました。
勝つための柔道に徹しきれていなかったように思います。
勝った阿部選手は、オリンピックでも勝って欲しいですが、確率では丸山選手の方が勝つ率が高いと思います。
それを覆して、阿部選手にはぜひ金メダルを獲得して欲しいですね。
お互いが認めあった二人の試合に、感謝です。
こんな試合、見られるもんではありません。
そして、ejudoの講評。
素晴らしい、分析力、文章力、熱意です。
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固唾を飲んで試合を見ていた方も多いと思います。
何を隠そう、私もその一人でした。
戦前の予想は丸山選手が有利。
試合の話になると、丸山選手が勝つと話していました。
今でも、その考えは間違っていないと思います。
では、何故丸山選手は敗れ、阿部選手は勝ったのか?
異様な雰囲気で試合は始まりました。
本戦の4分間はあっという間に過ぎ去り、予想通り延長戦へ。
ここまでの展開は、阿部選手が徹底的に丸山選手の釣り手を落とし、組ませずに、片手であっても先に技を繰り出す展開。
そして組めない丸山選手は、攻め手を欠く状況でした。
この流れは終始変わりませんでしたが、延長に入りスタミナが切れる阿部選手が徐々に失速すると思っていましたが(事実これまでの試合展開はそうでした)、今回に限ってはその兆候が全く見られませんでした。
恐らく、丸山選手の脳裏には、延長ゴールデンスコアに入るのは想定内。
そこまでは無理をせず、じっくりとプレッシャーを掛け、先攻してくる阿部選手のスタミナ切れに乗じて攻め手を強めるというような従来通りの戦略だったのでは?
グランドスラム大阪では敗れたものの、あの時の丸山選手のコンディションは良くなかった。
今回は万全で、万全ならば3連勝した時と同じように戦えば、必ず勝てると信じていた。
戦法としては、後の先に近い形ですね。
この戦い方、確かに手堅い反面、相手次第では自分が窮地に落ち込むこともあります。
今回は、正にそれにハマった感じがします。
試合が進むにつれ、徐々に攻め手が見つからず、焦ってきたように思います。
それを阿部選手のスタミナが切れないことが追い打ちをかける。
途中、右の一本背負いのフェイントから、引手を確保し、良い形を作れ出しましたが、ここでも強引に攻めきれなかった。
対する阿部選手は、今まで通りに戦ったら勝ち目は薄い。組んだら負けるということがインプットされていたと思います。
今までの相手ならば、組んでしまえば投げて終わりだったのが、丸山選手は自身の斜め上をいく投げの強さがあった。
3連敗した際は、攻め手を欠き、守ってしまった。
しかし、後の無くなったグランドスラム大阪では、なりふり構わず攻めて勝てた。
この経験は大きかったと思います。
今まで守って、守り切れなかったのが、攻めたら勝てた。
組まずに、どんな形でも先手で攻める。
指導を先に奪い、丸山選手を精神的に追い詰め、あわよくば指導3の反則勝ち。
焦った相手の隙を突く作戦だったと思います。
そして大枠は阿部選手の狙い通りの展開に。
コンディションも非常によく、スタミナ切れを起こさず、ケガによる中断も阿部選手に有利に運びました。
ワンマッチということも、阿部選手にはプラスだったことでしょう。
丸山選手は、攻めるタイミングが来ないことに徐々に焦ったのでしょうか。
そして雌雄を決するあの場面、阿部選手が小外を引っ掛け、大内刈りに浅入り、間合いを詰めもう一歩前に出たタイミングを狙い、丸山選手がカウンターの浮き技を仕掛けますが、ほぼそれと同時に阿部選手の大内刈りが飛び込みます。
これが、反射的なものなのか、偶然なのか、狙ったものなのかは分かりませんが、少なくとも丸山選手は動きの中でこの浮き技狙って掛けたと思います。
あのタイミングは間違っていない。
しかし、それを大内刈りで切り返す阿部選手が凄かった。
膝をやったかと思うような切り返し方。
体幹の強さを感じる切り返しです。
カウンターにカウンター返しです。
主審の判定は阿部選手の技あり。
これに異論はありませんね。
阿部選手の一番の勝因は、ワンマッチという特性を生かした先手を取る戦いと徹底した組手、そしてそれを支えたフィジカルだったと思います。
逆に丸山選手は、待ってしまった。普通に自分の柔道をすれば負けないと思っていたのでは。
確かに柔道は負けはしていませんが、勝負には敗れました。
勝つための柔道に徹しきれていなかったように思います。
勝った阿部選手は、オリンピックでも勝って欲しいですが、確率では丸山選手の方が勝つ率が高いと思います。
それを覆して、阿部選手にはぜひ金メダルを獲得して欲しいですね。
お互いが認めあった二人の試合に、感謝です。
こんな試合、見られるもんではありません。
そして、ejudoの講評。
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