11月22~24日に、丸善インテックアリーナ大阪で2019グランドスラム大阪が開催されました。
女子選手の戦いぶりを振り返り、オリンピック代表争いを独断と偏見で占いたいと思います。





女子
48キロ級
渡名喜風南(パーク24) 優勝
角田夏実(了德寺大学職員) 第三位
古賀若菜(南筑高校) 第三位
近藤亜美(三井住友海上火災保険) 第五位

優 勝 渡名喜風南(パーク24)
準優勝 FIGUEROA,Julia(ESP)
第三位 古賀若菜(南筑高校)
第三位 角田夏実(了德寺大学職員)
第五位 近藤亜美(三井住友海上火災保険)
第五位 LAPUERTA COMAS,Mireia(ESP)
第七位 MUNKHBAT,Urantsetseg(MGL)
第七位 PICHKALEVA,Daria(RUS)

階級を下げた角田選手の勝ち上がりは驚異的でした。それだけに準決勝はエアポケットに陥ったような印象でした。それだけにもったいない負けでした。誰しも渡名喜選手との決勝を見たかった思います。
渡名喜選手の勝ち上がりも安定しており、近藤選手との準決勝の消耗戦を乗り切り、見事に優勝しました。しかし、対ビロディド選手という点では、渡名喜選手に不安が残るのも事実です。
現時点では実績から渡名喜選手の代表が一番近いと思いますが、角田選手の試合ぶりも素晴らしかったので、12月のマスターズ、2月のグランドスラムパリ、デュッセルドルフ、選抜体重別の直接対決で雌雄が決するのではないでしょうか。角田選手としては、ここから一度も負けられないと思います。
古賀選手は今回間に合いませんでしたが、次回のパリは期待できます。
近藤選手は、納得いく試合がこのところ少なかったですが、今回はやり切ったのではないでしょうか。


52キロ級
阿部詩(日本体育大学) 準優勝
志々目愛(了德寺大学職員) 第三位
内尾真子(自衛隊体育学校) 1回戦敗退
前田千島(三井住友海上火災保険) 第三位
優 勝 BUCHARD,Amandine(FRA)
準優勝 阿部詩(日本体育大学)
第三位 前田千島(三井住友海上火災保険)
第三位 志々目愛(了德寺大学職員)
第五位 PIMENTA,Larissa(BRA)
第五位 PARK,Da Sol(KOR)
第七位 GUICA,Ecaterina(CAN)
第七位 OLVERA,Luz(MEX)

優勝は逃したものの、直接対決で最大のライバル志々目選手を下した阿部選手が代表の最右翼です。
決勝は、いつもの積極性が見られませんでしたが、それまでは順調でした。
志々目選手も力はありますが、阿部選手との相性の悪さに泣かされています。
この階級は阿部選手でほぼ決まりだと思います。

57キロ級
芳田司(コマツ) 第五位
玉置桃(三井住友海上火災保険) 優勝
舟久保遥香(三井住友海上火災保険) 第五位
鶴岡来雪(コマツ) 3回戦敗退

優 勝 玉置桃(三井住友海上火災保険)
準優勝 LIEN,Chen-Ling(TPE)
第三位 KLIMKAIT,Jessica(CAN)
第三位 DORJSUREN,Sumiya(MGL)
第五位 芳田司(コマツ)
第五位 舟久保遥香(三井住友海上火災保険)
第七位 OHAI,Loredana(ROU)
第七位 PODOLAK,Arleta(POL)

本命の芳田選手を玉置選手が破り、そのまま優勝も奪い取りました。
芳田選手は世界選手権のころから、やや調子を落としている印象で、グランドスラムバクー以降大切な試合をことごとく落としています。やや迷いがあるように感じられます。以前は立ち技と寝技のバランスが良かったのですが、ちょっとこのバランスが崩れているように感じます。
玉置選手は芳田選手に強い印象ですが、問題は外国人選手です。今大会は優勝しましたが、2018年マスターズ、2019年グランドスラムパリ、グランプリザグレブと勝てませんでしたので、その辺りが課題です。
現状では芳田選手がリードしていると思いますが、その差は僅かです。この両者のどちらかが代表入りとなるのは間違いありません。この冬の戦いが重要になります。


63キロ級
田代未来(コマツ) 第三位
鍋倉那美(三井住友海上火災保険) 第三位
土井雅子(JR東日本) 優勝
幸田奈々(帝京科学大学) 準優勝

優 勝 土井雅子(JR東日本)
準優勝 幸田奈々(帝京科学大学)
第三位 田代未来(コマツ)
第三位 鍋倉那美(三井住友海上火災保険)
第五位 HAN,Hee Ju(KOR)
第五位 DEL TORO CARVAJAL,Maylin(CUB)
第七位 DAVYDOVA,Daria(RUS)
第七位 TANG,Jing(CHN)

本命は田代選手ですが、土井選手に足元を掬われました。評価は変わらないと思いますが、取りこぼしはイメージがよくありません。
土井選手はしぶとい柔道で勝ち上がり見事な優勝でしたが、田代選手の実績とは差があるのも事実です。
鍋倉選手もチャンスでしたが、幸田選手にGSで破れ、再びGSの弱さを露呈しました。
2番手以降の選手が田代選手をここから逆転するのはなかなか困難だと思いますが、何が起きるか分からないのが代表選考でもありますので、この冬の戦いを注目したいと思います。


70キロ級
新井千鶴(三井住友海上火災保険) 第三位
田中志歩(環太平洋大学) 1回戦敗退
新添左季(自衛隊体育学校) 2回戦敗退
大野陽子(コマツ) 優勝

優 勝 大野陽子(コマツ)
準優勝 POLLING,Kim(NED)
第三位 SCOCCIMARRO,Giovanna(GER)
第三位 新井千鶴(三井住友海上火災保険)
第五位 BUTKEREIT,Miriam(GER)
第五位 RODRIGUEZ,Elvismar(VEN)
第七位 BELLANDI,Alice(ITA)
第七位 BERNHOLM,Anna(SWE)

世界選手権の汚名返上を目指した新井選手でしたが、POLLING,Kim(NED)選手の驚異的な強さに飲み込まれてしまいました。それでも、3位を確保したことで、頭ひとつ抜けた評価は変わらないのではないでしょうか。
大野選手は戦前の評価を覆す戦いぶりで、決勝でも絶好調のPOLLING,Kim(NED)選手を下し優勝を飾ったのは評価できますが、波のある試合ぶりは評価が分かれると思います。
この階級は、余程のことがない限り新井選手の代表が濃厚です。


女子
78キロ級
濵田尚里(自衛隊体育学校) 準優勝
梅木真美(ALSOK) 優勝
和田梨乃子(三井住友海上火災保険) 第五位
泉真生(コマツ) 第三位

優 勝 梅木真美(ALSOK)
準優勝 濵田尚里(自衛隊体育学校)
第三位 泉真生(コマツ)
第三位 POSVITE,Fanny Estelle(FRA)
第五位 TCHEUMEO, Audrey(FRA)
第五位 和田梨乃子(三井住友海上火災保険)
第七位 ANTOMARCHI,Kaliema(CUB)
第七位 STEENHUIS,Guusje(NED)

決勝で濱田選手を破った梅木選手が優勝し、代表レースのトップを走っていた濱田選手に肉薄しました。両選手ともに一長一短があり、候補者選定に頭を悩ませると思います。
濱田選手は今年1年勝ちきれない試合が続きましたが、梅木選手はグランドスラムパリ以外は勝ちました。直接対決ではやや梅木選手が有利なような気がしますが、やってみなければ分からないです。
この階級もギリギリまで選考が難航すると思います。
代表争いとは関係ありませんが、和田選手が急激に伸びてきた印象です。今後が楽しみな選手です。


78キロ超級
素根輝(環太平洋大学) 優勝
朝比奈沙羅(パーク24) 第三位
冨田若春(コマツ) 第五位
児玉ひかる(東海大学) 1回戦敗退

優 勝 素根輝(環太平洋大学)
準優勝 ORTIZ,Idalys(CUB)
第三位 SOUZA,Beatriz(BRA)
第三位 朝比奈沙羅(パーク24)
第五位 TOLOFUA,Julia(FRA)
第五位 冨田若春(コマツ)
第七位 KALANINA,Yelyzaveta(UKR)
第七位 SAVELKOULS,Tessie(NED)

素根選手がORTIZ,Idalys(CUB)選手を決勝で下し、オリンピック代表に選出されました。
対外国人の弱さを指摘されましたが、上手い組手と足技、そして豊富な稽古に裏打ちされた抜群のスタミナで勝利を重ねていきました。本命選手が敗れることが多かった今大会ですが、しっかりと結果をのこしたのも見事でした。
ライバルの朝比奈選手が準々決勝で一本負けしたことで、一気に代表入りへ加速しましたね。準決勝の冨田選手との戦いも、決して楽な試合ではなかったですが、勝負所を逃がさない勝負勘は素晴らしいですね。
オリンピックでも金メダルが期待できると思います。