2019年の全日本選抜体重別選手権大会の出場者が決定し、全日本柔道連盟から発表がありました。

全日本柔道連盟

男子出場者名簿

女子出場者名簿


男女とも各階級8名づつが選ばれています。
既に世界選手権出場が内定している、阿部詩選手(52キロ級)、新井千鶴選手(70キロ級)はエントリーしていません。

2月、3月に行われるグランドスラム3大会(パリ、デュッセルドルフ、エカテリンブルグ)の結果と合わせて世界選手権の派遣選手が決定されます。


男子
60キロ級

髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(東海大)、志々目徹(了德寺学園職)、大島優磨(旭化成)、青木大(パーク24)、竪山将(パーク24)、森田将矢(鹿体大)、米村克麻 (センコー)
世界チャンピオンの高藤選手が代表争いでは一歩リードしていますが、実力的に僅差で追う永山選手は直接対決で高藤選手を破ってアピールしたいところです。実質的に代表争いはこの2名に絞られたといっても過言ではないと思います。大島選手が、この二人の争いに割って入る可能性もあります。志々目選手は、最低でも高藤選手、永山選手に勝たなければ、代表への道は閉ざされます。


66キロ級
阿部一二三(日体大)、丸山城志郎(ミキハウス)、田川兼三(筑波大)、藤阪太郎(大阪府警)、磯田範仁(国士舘大職)、 藤阪泰恒(國學院大)、 西山祐貴(警視庁)、 木戸清孝(天理大学クラブ)
世界チャンピオンの阿部選手が圧倒的に有利に思えましたが、グランドスラム大阪での敗戦で丸山選手の株が一気に上がってきています。丸山選手は今大会も阿部選手に勝ちたいところです。代表争いはこの2名に、田川選手、藤阪太選手、磯田選手が追いかける展開ですが、実績でやや不利か。


73キロ級
橋本壮市(パーク24)、大野将平(旭化成)、海老沼匡(パーク24)、立川新(東海大)、野上廉太郎(筑波大)、石郷岡秀征 (筑波大)、竹内信康(新日鐵住金)、岩渕侑生 (センコー)
元世界チャンピオンの橋本選手と、オリンピックチャンピオンの大野選手、66キロ級の元世界チャンピオンの海老沼選手の争いか。
調子的には大野選手が好調を維持しており、やや有利。橋本選手、海老沼選手は直接対決での勝利が最低条件ではないでしょうか。


81キロ級
藤原崇太郎(日体大)、佐々木健志(筑波大)、小原拳哉(パーク24)、佐藤正大(自衛隊体育学校)、中園史寛(福岡県警)、長島啓太(日本中央競馬会)、永瀬貴規(旭化成)、糸井滉平(大阪府警)
世界選手権3位の藤原選手はケガの状況が心配です。登り調子の佐々木選手が優勝の本命か。調子に乗った時には手がつけられない強さがありますが、その反面自爆することもあり、蓋を開けてみないと分からない部分もあります。オリンピック3位の永瀬選手は、試合感とともにケガの前の感覚とのズレの修正が課題に思いますが、修正できれば本命ではないかと思います。


90キロ級
長澤憲大(パーク24)、ベイカー茉秋(日本中央競馬会)、向翔一郎(ALSOK)、田嶋剛希(筑波大)、村尾三四郎(桐蔭学園高)、深山将剛(東海大)、前田宗哉(自衛隊体育学校)、小林悠輔(旭化成)
長澤選手はワールドマスターズでの負け方が良くありませんでしたが、どこまで修正できるか。ベイカー選手もケガからの復活はもう一息。向選手は調子の波があるものの、一発は魅力です。外国人に強い田嶋選手、高校生ながら全日本選手権にも出場した村尾選手などの戦いにも注目です。


100キロ級
ウルフアロン(了德寺学園職)、飯田健太郎(国士舘大)、羽賀龍之介(旭化成)、西山大希(新日鐵住金)、熊代佑輔(ALSOK)、松雪直斗(福岡県警)、垣田恭兵(旭化成)、伊藤好信(東海大)
ウルフ選手は世界選手権こそ苦戦したものの、国内では頭ひとつ抜けている感があります。問題はケガの状況。追いかける飯田選手は、もうひとつ勝ちきれないパターンから抜け出せていませんが、潜在能力はピカイチに思います。羽賀選手もケガの回復次第では期待できます。


100キロ超級
原沢久喜(フリー)、小川雄勢(明治大)、影浦心(日本中央競馬会)、太田彪雅(東海大)、佐藤和哉(新日鐵住金)、七戸龍(九州電力)、王子谷剛志(旭化成)、上田轄麻(新日鐵住金)
本命は原沢選手ですが、小川選手の成長も著しいです。原沢選手は精神的な安定があれば一番だと思います。小川選手は積極性を失わずにいければ、あのスタミナが物を言うと思います。影浦選手も鋭い背負い投げを中心に頂点を目指します。王子谷選手はやや元気がなく、心配です。


女子
48キロ級

渡名喜風南(パーク24)、芳田真(比叡山高)、近藤亜美(三井住友海上火災保険)、遠藤宏美(ALSOK)、山﨑珠美(自衛隊体育学校)、古賀若菜(南筑高)、坂上綾(三井住友海上火災保険)、田中芽生(龍谷大)
世界選手権2位の渡名喜選手が本命ですが、成長著しい芳田選手が後を追います。ベテランの域に入る近藤選手は、このところ勝負師らしからぬ淡白な試合が続いており、背水の陣です。
インターハイ2連覇の古賀選手を筆頭に若い選手が台頭しやすい階級でもありますので、勝負の行方は混沌としています。


52キロ級
志々目愛(了德寺学園職)、角田夏実(了德寺学園職)、前田千島(三井住友海上火災保険)、立川莉奈(福岡大)、武田亮子(龍谷大)、内尾真子(自衛隊体育学校)、坪根菜々子(福岡大)、大森生純(帝京高)
阿部選手が世界選手権代表に内定しているため、実質的に2つ目の代表枠を狙い志々目選手と角田選手の争いとなります。直接対決で決着をつけることになると思いますが、登り調子の角田選手に対し、やや調子を落としている感のある志々目選手。同門対決でもあり、やりにくい戦いですが、お互いに実力をしっかりと発揮して欲しいですね。


57キロ級
芳田司(コマツ)、玉置桃 (三井住友海上火災保険)、富沢佳奈 (東海大)、舟久保遥香 (三井住友海上火災保険)、岡田恵里佳 (立命館宇治高)、石川慈(コマツ)、竹内鈴(東海大)、柴田理帆(筑波大)
本命は世界チャンピオンの芳田選手ですが、玉置選手が猛追しています。そこに舟久保選手、富沢選手も絡み、世界チャンピオンの芳田選手といえども気が抜けない戦いとなります。実績では芳田選手が頭ひとつリードしていますが、玉置選手のこのところの成長は著しいので、実力的な差はほぼないと感じます。
 

63キロ級
田代未来(コマツ)、鍋倉那美(三井住友海上火災保険)、土井雅子(JR東日本)、能智亜衣美(了德寺学園職)、佐藤史織(山梨学院大)、幸田奈々(帝京科学大)、山本杏(パーク24)、瀬戸口栞南 (山梨学院大)
田代選手は世界レベルでも3強の一人といって過言ではありませんが、鍋倉選手もその間に割って入り、さらに土井選手も絡んできています。能智選手はやや離された感が強く、前述の3人の争いが濃厚です。世界的な実績では田代選手がリードするだけに、鍋倉選手、土井選手は直接対決ではっきりとした勝ち方を見せ、アピールしたいところです。


70キロ級
大野陽子(コマツ)、新添左季 (山梨学院大)、田中志歩(環太平洋大)、朝飛七海(桐蔭横浜大)、嶺井美穂(桐蔭横浜大)、西願寺里保(コマツ)、青柳麗美(環太平洋大)、榎谷有里(JR九州)
新井選手が世界選手権代表に内定し、2つ目の枠を争う戦いです。
世界選手権で3位に入った大野選手が優勝争いの本命ですが、グランドスラム大阪、ワールドマスターズとやや内容が悪くなっており、調子は下降線です。逆に新添選手はグランドスラム大阪では大野選手に勝ち、ワールドマスターズでも良い内容で優勝するなど好調です。この二人の優勝争いに残りの選手が割って入れるかに注目です。


78キロ級
濵田尚里(自衛隊体育学校)、佐藤瑠香(コマツ)、梅木真美(ALSOK)、髙山莉加(三井住友海上火災保険)、泉真生(山梨学院大)、梅津志悠(三井住友海上火災保険)、和田梨乃子(三井住友海上火災保険)、鈴木伊織(環太平洋大)
世界チャンピオンの濱田選手ですが、波が大きく安定感に欠けます。佐藤選手はグランドスラム大阪では梅木選手に勝ったもののワールドマスターズでは逆に敗れてしまいました。梅木選手はワールドマスターズの決勝で押されながらも佐藤選手を下し、勢いに乗っていると思います。ここに高山選手を交え、さらに泉選手、梅津選手、和田選手も侮れません。戦国時代の様相の78キロ級です。


78キロ超級
朝比奈沙羅(パーク24)、素根輝(南筑高)、秋場麻優(環太平洋大)、稲森奈見(三井住友海上火災保険)、井上あかり (環太平洋大)、山部佳苗(ミキハウス)、児玉ひかる(敬愛クラブ)、粂田晴乃(筑波大) 
世界チャンピオンの朝比奈選手とその朝比奈選手にグランドスラム大阪では投げて勝ち、3連勝した素根選手の争いです。以前の素根選手は、大型の選手を苦手にしていましたが、このところの安定感はピカイチです。逆に朝比奈選手は、スタミナに難をみせ、世界選手権こそ勝ったもののグランプリザグレブでは準々決勝で敗れるなど脆さも見せだしています。流れ的には素根選手ですが、朝比奈選手もこのまま行くとは思えません。